【阿波製紙】究極理想の世界

2010年11月16日

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  ■ AWA PAPER NEWS ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
 ┃                                                                
 ┃       機能紙・不織布の共同開発メーカー 阿波製紙株式会社        
 ┃                    vol.71 【 2010/ 11/ 16 】        
 ┃                                        
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  http://www.awapaper.co.jp/ 
 ┌──┐
 │目次│   
 └┬─┘      
  ├ 01:[ ご 挨 拶] 今月の社長メッセージ
  ├ 02:[二 ュ ー ス] エコ・プロダクツ2010に出展
  ├ 03:[二 ュ ー ス] 平成22年度稲荷神社祭ならびに創立94周年記念式典開催
  ├ 04:[二 ュ ー ス] 厚生労働大臣感謝状・日本赤十字社長感謝状を贈呈される
  ├ 05:[シ リ ー ズ] 環境は今(第8回:航空機の環境汚染と対策)
  └ 06:[シ リ ー ズ] 水の時代(第14回:新しい排水管理の手法)
 
                       
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┃ ■  ご 挨 拶 ■
┃――――――――――――――――――――――――――――――――――
┃  究極理想の世界
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                                                    取締役社長 三木康弘


 APEC(アジア太平洋経済協力会議)が横浜で開かれました。中国やロシアと
は外交課題につき言うべきことが適切に言えたのかどうか、一国民として強い
憂いを感じています。
 TPP(環太平洋経済連携協定)の協議に日本も参加表明いたしましたが、こ
れは貿易の自由化のみならず労働者の移動や投資自由化、環境や食品安全など
も含まれる枠組みが特徴であり、まさに日本国を治める根本の大転換です。明
治維新以来の開国構想、船中八策ならぬ次代の国策をどのように定めるつもり
か重大な関心を持たずにはいられません。政府の発言が、またころころと変わ
らないことを期待します。

 京セラ創業者の稲盛和夫氏は、究極理想の世界「世界連邦政府構想」を唱え
られていました。世界中の国家、民族が国境を廃止し、一つの共同体を形成し
て、平和と調和の中で発展していく。その理想を実現するために、世界のボー
ダーレス化を目的に国際機関を設立してさまざまの政策を実行していくという
提案です。究極の目標を掲げながら、日本人にしか出来ない調和力と技術力を
発揮していけば、もっともっと国際政治の中でリーダーシップを取れるのでは
ないかと思います。

 先般当社の恒例行事であります稲荷神社祭を創立記念式典と共に開催しまし
た。過去を振り返る節目であり、同時に10年後や20年後を見据える機会ともな
っています。

(平成22年度稲荷神社祭ならびに創立94周年記念式典開催)
 ⇒ http://www.awapaper.co.jp/company/news184.html

 世界のボーダーレス化の過渡期に過去や枠、そして常識にとらわれず、究極
理想の姿を考えると胸が躍ります。経営理念の実現に向けどこまで変化し続け
ていけるか、点を線に、線を面に、面を体にと道程を踏みしめて進んで行きた
いと考えています。

(エコ・プロダクツ2010に出展)
 ⇒ http://www.awapaper.co.jp/company/news183.html

 稲盛氏は、経済変動を乗り越え成長発展を持続するには「利他に徹し、広い
視野をもって経営を行う」つまり自分の会社だけ儲けたらいいという考えでな
く、取引先にも利益を上げてもらい、更には消費者や株主、地域の利益にも貢
献すべく経営を行っていくと、おのずとより広い視野をもつことができ、周囲
のさまざまな事象について目配りできるようになるから、客観的な正しい判断
ができると言われます。阿波製紙も地域社会に貢献する会社としてお客様と共
に成長発展を目指してまいりたいと思います。

(厚生労働大臣感謝状・日本赤十字社長感謝状を贈呈される)
 ⇒ http://www.awapaper.co.jp/company/news185.html



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┃ ■ 今月のトピックス ■
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 │■ トピックス 1 エコ・プロダクツ2010に出展
 ├─────────────────────────────────
 │平成22年11月11日(木)
 │ 当社は、12月9日(木)~11日(土)の3日間、東京ビッグサイト[東展示
 │ 場 1~6ホール]において開催されます『エコ・プロダクツ2010』の「とく
 │ しま産業振興機構」ブースに出展いたします。
  │ 紙製放熱フィンの展示を予定しておりますので、是非お立ち寄りください。
 │ → http://www.awapaper.co.jp/company/news183.html
 └─────────────────────────────────

 │■ トピックス 2 平成22年度稲荷神社祭ならびに創立94周年記念式典開催
 ├─────────────────────────────────
 │平成22年11月15日(月)
 │ 当社は、11月10日、恒例行事である稲荷神社祭ならびに創立記念式典
  │ (94周年)を本社・徳島工場にて開催いたしました。
 │ → http://www.awapaper.co.jp/company/news184.html
 └─────────────────────────────────

 │■ トピックス 3 
 │  厚生労働大臣感謝状・日本赤十字社長感謝状を贈呈される
 ├─────────────────────────────────
 │平成22年11月15日(月)
 │ 当社は、11月11日、徳島県庁にて開催された「献血功労表彰式」「日本赤
 │ 十字社表彰式」にて「厚生労働大臣感謝状」「日本赤十字社長感謝状」を
 │ 贈呈されました。
 │ → http://www.awapaper.co.jp/company/news185.html
 └─────────────────────────────────


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┃ ■ シリーズ ~ 環境は今 ~ ■
┃――――――――――――――――――――――――――――――――――
┃ ~ 第8回:航空機の環境汚染と対策 ~
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                               取締役常務執行役員  濱 義紹
 

 工場における生産活動と自動車の排気ガスが大気汚染の大きな原因であるこ
とが世界中の国々で認識され、自動車用のエネルギー源がプリウスタイプのハ
イブリッドエンジンや、燃料電池自動車、電気自動車などの脱化石燃料の方向
に向かって実用レベルで大きく動き始めている。
 しかし、同じく化石燃料を使用する航空機や船舶などの実態はほとんど知ら
れていない。
 今回はビジネスにも非常に関係の深い航空機の環境汚染について述べる。

【航空機の大気汚染】

 世界中を飛んでいるジェット機のCO2発生量は世界中から発生するCO2発生量
全量の2~3%である。
 また、2000年代のはじめに調査されたところによると、交通機関によって発
生されるCO2の量は全体量の23%である。その内訳は地上交通機関が81%、海洋
交通機関が7%、そして18,000機の世界の航空機からの排出量は12%であった。
 これに加えてNOXも問題となっており、ガソリン燃焼による大気汚染対策の試
みが鋭意進められている。

【航空機の燃費】

 セスナ172と2000ccクラスの自動車がよく似た燃費であることを数字で示す。

   ◆セスナ172(5244cc) 
    [速度]      185km/h
    [295kmの所要時間] 1時間36分
    [燃料消費量]   42.4L ・ 6.96 km/L

   ◆乗用車(2000cc)    
    [速度]      50 km/h    
        [295kmの所要時間] 6時間       
        [燃料消費量]     42.0L ・ 7.02 km/L

 航空ガソリンの価格は自動車用ハイオクガソリンのほぼ1.7倍になるので燃料
のコストは飛行機のほうが高くなる。
 大型飛行機の場合はボーイング747で東京―ニューヨーク間で70m/L、ボーイン
グ777で東京―札幌間で90m/Lと数字だけ見ると悪いように見えるが、1L当たりの
輸送量で見ると747が19 km/人、777が35 km/人となりセスナ172や2000ccの乗用
車が4人乗りとすれば約28 km/人となりほとんど変わらない輸送効率である。
 エアバスA380(800人乗り)は現役の航空機の中で唯一乗客一人を100km運ぶの
に要する燃料消費が3Lを切っている。ちなみに1985年の平均的な旅客機の燃料消
費は8Lであった。
 しかし、現在の航空機のほとんどは3.5Lのレベルに達している。プリウスに一
人で乗っているときの100kmの移動に要する燃料消費は3.8Lであり、旅客機の燃
費改善は飛躍的に進んでいるのである。この数字にちなみ、NEWSWEEK2010年9月
15日号では「空飛ぶプリウス未来へGO!」という見出しで未来の航空機について
特集されている。

【航空機の燃料】

 航空機燃料の代表的な特徴は次のようなものがある。

 (1)発熱量が大きい
 (2)気化性がよい
 (3)アンチノック性が大きい
 (4)容器を化学的に変質させにくい
 (5)化学的安定性が高い
 (6)耐寒性が大きい

 航空機用ガソリンはオクタン価によって分類されているが日本では一種類に
限られている。

      ガソリンの種類   -  色別  - 1gal中の4エチル鉛 
     (オクタン価/出力価)                
         80/87  - 赤 - 0.5cc
         91/96  - 青 - 2.0cc
          100/130 - 緑 - 3.0cc (日本で使用されている燃料)
          108/135 - 褐 - 3.0cc
          115/145 - 紫 - 4.6cc

 飛行機は4万フィート上空ではマイナス56℃まで温度が下がり、地上では40
℃位まで温度が上がるため、燃料はこの範囲で使用できるものとなっている。
飛行機の機体の表面は空気との摩擦により200℃に達しており、これがガソリ
ンの凍結を防いでいる。
 日本で使用されている燃料はAVGAS100という航空ガソリンである。

【燃料電池による飛行】

 ボーイング社が2006年から燃料電池システムの実験を始めることが日経エコ
ロジー2006年1月号で報じられた。
 その後の経緯はニュースで報じられている通りであるが、2008年4月3日にス
ペインにあるボーイング社の研究開発部門が水素燃料電池とリチウムイオン電
池を搭載した二人乗りのプロペラ機を電気モーターでプロペラを回転させ、高
度1000mまで上昇させ、燃料電池からの電気だけで時速100kmで20分間の飛行を
成功させた。

【バイオ燃料による飛行】

 CO2削減を迫られる航空業界では藻類から作ったバイオ燃料を搭載した飛行
試験が相次いでいる。従来のジェット燃料に40~50%のバイオ燃料を混ぜて使
用される。石油とよく似たエネルギー密度の油が抽出できるため既存の機体の
エンジンを変える必要がないことが代替燃料としてうってつけであるといわれ
ている。
 航空各社(ヴァージンアトランティック航空、ニュージランド航空、コンチ
ネンタル航空)は2009年からバイオ燃料で2013年の実用化を目指している。

(1)第一世代のバイオ燃料・・・食料を原料とするもの
   とうもろこし、サトウキビ、麦

(2)第二世代のバイオ燃料・・・非食料を原料とするもの
    草木、建築廃材(木材)、麦わら、トウモロコシの茎や葉、藻類

 第一世代が食料価格の高騰を引きおこして国際社会の批判を浴びたことで第
二世代の開発競争が加速している。

【イカダモの大量培養に成功した徳島県内の産学グループ】

 生成する油の量は筑波大学の渡邉信教授のグループが研究しているポトリオ
コッカスが多いが、徳島県の産学グループ(WDB環境バイオ研究所、徳島大学、
四国大学短期大学部、アムテック)は生成量こそポトリオコッカスに及ばないが、
真冬の寒さでも40℃を越える水温でも一日に約2倍に増えるイカダモの大量培養
(100t)に成功した。

 藻類を原料としてバイオ燃料を作る場合には、次の三ステップが必要である。

  第一ステップ・・・性能の高い藻類を獲得する
  第二ステップ・・・藻類の大量培養
  第三ステップ・・・効率のよい燃料製造工程の確立

 第二ステップで苦労している研究グループも多い中、徳島県のグループはW
DB環境バイオ研究所の全身の田崎真珠の養殖技術を活かしている点が特徴で
ある。

【藻類からつくるバイオ燃料の優位性】

 バイオディーゼル原料の単位面積当たりの生産量や石油代替のために必要と
される面積などを比較すると現実性の極めて高い藻類の優位性が見えてくる。

       生産量(L)※1 - 面積(100万ha)※2 - 面積(%)※3 
 [綿花]         325       1万5002      757
 [大豆]       446        1万932      552
 [アブラ菜]     1190         4097      207
 [ジャトロファ]   1892         2577      130
 [パーム油]     5950         819       41
 [藻類]     9万8500          49      2.5

   ※1)生産量(L)    →  1ha当たりの年間バイオ燃料生産量
      2)面積(100万ha)→  世界の石油需要を満たすのに必要な面積
      3)面積(%)     →  地球上の耕作地面積に占める割合

【EU規制と米航空産業】

 EUが地球温暖化対策として航空機のCO2排出規制を打ち出したため、EU域内
で離発着する航空会社は2009年8月までに温暖化ガス対策の計画をEU当局に提
出しなくてはならなくなった。
 米国の航空会社にとって旅行需要の減少と燃料価格の乱高下に悩まされてい
る上にさらに追い討ちをかける問題として米国航空運送協会(ATA)は国際法
違反であると断固反対を表明している。
 これまでの航空業界は自動車産業や電力業界と比べると省エネの目標設定や
CO2対策の面で楽な立場にあったと環境保護派は主張している。1997年の京都
議定書では航空業界と海運業界に排出削減の自主的な取り組みを求めたが具
体的な削減目標までは設定していなかった。国境を越えて移動する航空機や船
舶の管轄権の問題がはっきりしなかったせいもあるとされている。
 当時は航空機のCO2排出量が全産業の2%に過ぎなかったが、現在では航空輸
送が急増しているため航空機業界のCO2排出量は2025年までに2倍以上に増えそ
うな勢いであることからもCO2排出規制案が浮上してきた。CO2排出規制につい
ては米国以外のヨーロッパの航空会社各社は支持の立場を取っており、国際航
空運送協会(IATA)もCO2排出削減に同意した。
 世界のジェット燃料の35%を消費している米国の航空業界は正念場を迎えて
いる。

【未来の航空機】

 騒音が少なく、安全で、燃費効率がよくて、環境に優しい旅客機の開発が進
んでいる。
 1938年にポピュラーメカニクスが特集記事で取り上げた「未来の全翼機」が
72年後の今年5月に超音速航空機に関する研究結果が明らかにされた。
 マサチューセッツ工科大学(MIT)が提案した「ハイブリッド・ウイングボ
ディ・Hシリーズ」が1938年に発表された「未来の飛行機」である全翼機その
ものに見えるくらいよく似た外観であるらしい。

 外観でなく本当に新しい点は下記の4点である。
 (1)機体の材質
 (2)エンジン
 (3)操縦するコンピューター
 (4)経済・環境・政治上の要請に対する配慮

 未来の航空機の目標は次のようなものがある
 (1)燃料使用量70%減
 (2)騒音がボーイング737より71dB低いこと
 (3)温室効果ガスが少なくオゾン層に影響を与えない環境に優しいエンジン
    原子力エンジン、プラズマジェット、バイオ燃料、環境に優しい燃料
    ソーラー
 (4)航空機の胴体とエンジンの新しい配置デザイン
    胴体の上にエンジンを配置し地上で聞こえるエンジン音を劇的に抑える
 (5)有人操縦とコンピューターによる無人操縦
 (6)亜音速の1000人乗りの全翼機

 先日テレビ放映されたスイスのソーラーインパルスは太陽電池を翼に搭載し、
昼間は太陽電池で蓄電しながら飛行し、夜には電池だけで飛ぶという実験が行わ
れ、今年7月に26時間の飛行実験に成功した。さらに研究チームは2014年までに
世界一周の達成を目指している。

 航空機の排気ガスによる環境問題と大量の化石燃料資源の枯渇対策として、水
面下では機体の材質から燃料に至るまでいろいろな研究が進んでおり、中小・中
堅企業においても参画が可能なビジネスチャンスが生まれるかもしれない。自動
車産業だけでなく航空機と船舶関連の動向についても技術誌でもっと取り上げて
もらいたいものだ。


《引用文献》
 ・日経エコロジー  2006年1月号 日経BP社
 ・日経エコロジー  2009年3月号 日経BP社
 ・日経エコロジー  2009年4月号 日経BP社
 ・日経エコロジー  2009年9月号 日経BP社
 ・飛行機の秘密 白鳥 敬著 2010年 PHP文庫
 ・ジェット・エンジンの仕組み 吉中 司著 2010年 講談社ブルーバックス
 ・Newsweek 2010年9月15日号 阪急コミュニケーションズ



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┃ ■ シリーズ ~ 水の時代 ~ ■
┃――――――――――――――――――――――――――――――――――
┃ ~ 第14回:新しい排水管理の手法 ~
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                               取締役常務執行役員  濱 義紹

 
 新たな水質汚濁物質として工業製品、窒素・燃料由来物質、農薬、家庭用品、
香料、天然由来物質、食品添加物、下水由来の医薬品、女性ホルモン、フッ素
系界面活性剤と耐塩素性病原微生物などが確認されており、未規制化学物質と
して存在していることを「新たな水質汚濁物質(1)(2)(3)で述べた。
 今までは化学的酸素要求量(COD)、生物化学的酸素要求量(BOD)などの総
合管理指標と個々の汚染物質に規制値を設けて管理していく個別物質管理手法
との組み合わせによる管理手法がとられてきたが、分析技術の発達により、前
記したように新たな水質汚濁物質として様々なものが確認されるようになって
きた。
 このような状況下で個別物質管理手法では環境保全や人の健康維持のための
指標になっているかどうかが疑わしくなってきた。
 そこで提案された新しい排水管理の手法が「日本版WET法」である。

【現行の事業場排水に関する規制】

 事業場排水に関する規制は次のようなものがある。
  旧水質二法      ―― 水質保全法、工場排水規制法(1958年)
  全国的な工場排水規制 ―― 水質汚濁防止法(1970年)
  湖沼法        ―― 湖沼水質保全特別措置法
  ダイオキシン法    ―― ダイオキシン類対策特別措置法

【現行の水環境管理手法の課題】

(1)物質間の複合毒性
 ・有機物濃度を下げるということはよいが指標としてCOD、BODがよいのか、
  規制数値は妥当なのか。
 ・個別物質規制は物質間の複合効果が考慮されていない。
 ・規制項目に入っていない物質。
 ・少量複合物質による複合毒性。

(2)ヒト以外の生物
 ・人の健康や人の生活環境を保全するために規制値が定められている。
 ・環境基本法では健康項目と生活環境項目だけはあるが、生態系保全項目
  は存在しない。

(3)増え続ける化学物質
 ・我が国で流通している化学物質は2万種類といわれている。毎日数百から
  千種類を超える化学物質が輸入や新規製造により登録されている。
 ・対策として環境基準項目や排水基準項目を増やせばいいのだが、水質監
  視のために恒久的な費用負担を考慮すると現実性は極めて低い。

【規制値と市民感覚】

 ・規制値遵守が市民感情としての「安全・安心」にはつながっていない。
 ・全国の公共用水域2007年度水質測定結果(環境省2008年11月19日発表)で
  は26項目の健康項目では99.1%で環境基準を達成していた。生活環境項目
  では河川のBOD、湖沼・海域のCODでは85.8%の達成率であった。
 ・「人と河川の豊かなふれあい」や「豊かな生態系」という視点で調べる
  と前者ではAランク評価は14.9%(342点中51点)、後者では52.6%
  (312点中164点)と低い。

【WET手法】

 現行の水環境管理手法は問題を残しながらも有効に働いているのは事実である。
これを補完する手法としてWET手法(Whole Effluent Toxicity)が提案されてい
る。
 WET規制は既に米国では行われおり化学物質を特定せず生態のバイオアッセイ
の結果を利用して排水規制を行う方法である。濃度規制と影響規制の両面から管
理する手法である。
 ポイントは次の二点である。

(1)排水評価のうえで、原点物質が「未知」であっても毒性は「既知」である
   ことに合意すること
(2)いかに毒性評価に漏れがないように排水サンプルを扱い試験するか

 《WETシステムとは》
  [1]除去あるいは削減するための方策
  [2]削減程度の目標を立てる
  [3]上記[1]、[2]を実行するための方策までがWETシステムである

【毒性同定評価(TIE)と毒性削減評価(TRE)】

(1)毒性同定評価(TIE)
        排水毒性の原因物質「群」を探索する一連の手順

 《Phase1》毒性特徴解析
      急性毒性値、基本の毒性値、pH調整、空気曝気、濾過、活性炭吸着、
      チオ硫酸ナトリウム添加、EDTA添加、溶媒抽出
 《Phase2》毒性同定
 《Phase3》毒性確認

(2)毒性削減評価(TRE)
       排水毒性の原因の特定、発生源の分離、毒性制御代替法の効率評価、
        排水毒性の削減効果の確認を目的として段階的に実施される発生源を
        対象とした一連の調査

    [1]施設の運転管理方法の評価
    [2]使用化学物質の評価
    [3]処理システムの評価
        
     ⇒毒性削減を判定する ⇒削減方法の選択と改善

 上流側の規制であるREACHやPRTRとは異なり下流側の実態を加味した別の指標
が必要と判断したものである。
 機器分析によって物質が検出限界以下であることと物質が存在していないこと
あるいは影響が存在しないこととは別であるという概念が基本となっている。

【海外のバイオアッセイ排水管理】

(1)北米
 《米国》
  1995年にWET試験方法が公布され、バイオアッセイとしては魚類、藻類、甲殻
  類の急性毒性試験・慢性毒性試験が淡水、海水それぞれの生物で行われてい
  る。
 《カナダ》
  バイオアッセイを用いた監視で製紙業と金属工業の排水を中心として行われ
  ている。

(2)ヨーロッパ
 《デンマーク》
  急性、慢性バイオアッセイだけでなく、微生物分解性、魚類蓄積性などの指
  標を用いて23の業種と数ヶ所の研究所に適用されている。
 《ノルウェー》
  ケースバイケースでバイオアッセイを行い監視されている。
 《フランス》
  ミジンコの急性毒性を用いた工場排水のモニタリングが行われている。
  バクテリア試験、変異原性試験、慢性毒性試験も検討に入れている。
 《英国》
  バイオアッセイによる排水の監視が行われている。

(3)アジア
 《韓国》
  2011年からWET規制が導入される予定。

(4)オセアニア
 《ニュージーランド》
  バイオアッセイの結果に基づいて排水の規制が行われている。

【実際の応用例】

 鑪迫典久氏(タタラザコノリヒサ:独立法人 国立環境研究所環境リスク研究セ
ンター)のグループによって調査された国内工場排水の2008年におけるバイオアッ
セイ結果が「水と水技術No.3」に紹介されているが、バイオアッセイの指標として
次の4項目が用いられていることが報告されている。

 (1)ミジンコ繁殖試験
 (2)藻類成長阻害試験
 (3)魚類胚初期発生毒性試験
 (4)発光バクテリア発光阻害試験

【日本版WETシステムの提案】

 米国のWETシステムは10年以上続いておりある程度成功している。日本は後発
なので毒性同定評価TIEや毒性削減評価TREに最新技術を取り入れて日本に合った
システムを作り上げる必要性が提案されている。バイオアッセイの手法は生態系
リスク回避のための一つの方向性を示すものとして期待できる。
 確実性と迅速性の備わった水環境管理方法として今後の生態系リスク管理に配
慮した評価方法として導入が予測されるWET法について、当社も国立環境研究所
の手法によるモニタリングを開始している。


《引用文献》
 ・Ohm MOOK No.76  水と水技術No.3   オーム社
   特集1「新たな水質汚染物質とその実態」


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