【阿波製紙】被災者の皆様にお見舞い申し上げます

2011年3月14日

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■ AWA PAPER NEWS ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃
┃   機能紙・不織布の共同開発メーカー 阿波製紙株式会社
┃                vol.75 【 2011/ 3/ 16 】
┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.awapaper.co.jp/
┌──┐
│目次│
└┬─┘
├ 01:[ ご 挨 拶] 今月の社長メッセージ
├ 02:[二 ュ ー ス] 本社新社屋建設に関するお知らせ
├ 03:[二 ュ ー ス] 小松島工場分工場を開設
│         (日本製紙株式会社小松島工場跡地)
├ 04:[二 ュ ー ス] ライティング・フェア2011に出展
└ 05:[シ リ ー ズ] 技術者のエスプリ
(第23回:繰り返される組織的失敗の本質に迫る)

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┃ ■ ご 挨 拶 ■
┃――――――――――――――――――――――――――――――――――
┃  被災者の皆様にお見舞い申し上げます
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取締役社長 三木康弘

3月11日以降甚大な被害をもたらしました東日本巨大地震において、不幸にし
てお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、
被災されました方々に謹んでお見舞い申し上げます。

世界的にも未曾有の大惨事に、国内のみならず世界中が被災地の心配をして
頂き、各国から救援隊も駆けつけて頂いています。困った時の人の情けの有難
さが身にしみる気がします。同時に、ご関係のある方の安否の分からない状況
がまだ暫く続くのかと心を痛めます。

一方、先進国たる日本の対応も世界から注目されているようです。大惨事に
際しての秩序ある行動や政府、国民の一致団結した対応、ノウハウ、技術力が
問われるのかと思います。個人的にも企業としても、精神的にも経済的にも痛
みを分かち合い、特に西日本に立地する企業の務めとして被災地復興を優先し
た惜しみない協力をしてまいりたいと思います。みなさまと共に、この惨事を
乗り越えて世界の範となるような大和魂を示したいと思います。

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┃ ■ 今月のトピックス ■
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│■ トピックス 1 本社新社屋建設に関するお知らせ
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│平成23年3月10日(木)
│ 当社は、3月10日、本社・徳島工場において新社屋の起工式を執り行いま
│ した。
│ → http://www.awapaper.co.jp/company/news191.html
└─────────────────────────────────

│■ トピックス 2
│ 小松島工場分工場(日本製紙株式会社小松島工場跡地)を開設
├─────────────────────────────────
│平成23年3月2日(水)
│ 当社は、小松島工場分工場(日本製紙株式会社小松島工場跡地〈小松島
│ 市豊浦町〉)を開設し、徳島工場の一部工程を移管し操業を開始いたしま
│ す。
│ → http://www.awapaper.co.jp/company/news190.html
└─────────────────────────────────

│■ トピックス 3 ライティング・フェア2011に出展
├─────────────────────────────────
│平成23年3月14日(月)
│ 当社は、3月8日(火)~11日(金)に開催されました『ライティング・
│フェア2011』に紙製放熱フィンを出展いたしました。
│ → http://www.awapaper.co.jp/company/news188.html
└─────────────────────────────────

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┃ ■ シリーズ ~ 技術者のエスプリ ~ ■
┃――――――――――――――――――――――――――――――――――
┃ ~ 第23回:繰り返される組織的失敗の本質に迫る ~
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取締役常務執行役員 濱 義紹

1984年に出版された「失敗の本質」は、日本が何故負けたのか旧日本軍の作
戦の失敗の構造が反省され、日本軍の戦闘の中から組織の抱える問題点を抽出
し、その分析・解釈によって組織一般にとっての教訓を引き出そうとした研究
内容であった。現在も極限状況に置かれた場合によく取り上げられる書である
が、本書編纂の中心人物であった野中郁次郎教授によると、「戦後の日本の政
治組織、官僚組織も陸海軍の失敗から何かを学んだようには見えない。そして
日本において唯一自己否定の能力を持ちえたのが企業組織であり、企業は厳し
い市場競争の中で生き延びなければならず、実行すべきことから逃れようとす
る企業は消えていくだけである」と本年1月号のハーバードビジネスレビュー
で語っている。
我々が過去に犯した“失敗の本質”は我々の組織文化の中に存在していると
いうことを直視し、我々一般国民や組織人がよく理解、認識し、第二次世界大
戦と同じような亡国の轍を踏まないような意識改革が必要である。
今回は「失敗の本質」の内容をもう一度見直し、組織を支配した「空気」に
ついて改めて深く掘り下げ、さらに本質に迫った「検証失敗の本質」ハーバー
ドビジネスの論文に焦点を当ててみたい。
我々産業界にも連綿として受け継がれている組織文化から起きている失敗を
繰り返さないよう「失敗の本質」の発生メカニズムから学び、グローバルに勝
ち残っていくための新たな価値創造が急務である。

【「失敗の本質」の事例研究】

(1)ノモンハン事件 ―― 失敗の序曲
・昭和14年5月11日にモンゴル軍とハルハ河東岸の国境線係争地区で武力
衝突。
・薄ノロと侮っていたソ連軍は兵器と戦法を改良し、量において、質に
おいて、運用において日本軍を凌駕し、全戦線にわたって日本軍を圧
倒した。
・ソ連軍が本事件に関して大兵力を展開することはないという先入観に
中央部、関東軍ともにとらわれていた。
・満州国支配機関としての関東軍はその機能をよく果たしたが、戦闘と
いう軍隊本来の任務に直面し、ソ連軍との戦いという新しい環境で機
能不全となり自壊作用を起こした。

(2)ミッドウェー作戦 ―― 海戦のターニングポイント
・昭和17年6月5日にミッドウェー攻撃隊を発進させた。
・大本営の発表と事実の乖離が始まる。
・日本の戦果は絶大と伝えられたが実際は米軍の空母損失は一隻に過ぎ
ず、逆に日本軍にとって中心的な役割を果たしてきた大型正規空母四
隻を失うという、きわめて不利なものであった。
・連戦連勝を続けてきた日本軍側が初めて経験した挫折。

(3)ガダルカナル作戦 ―― 陸戦のターニングポイント
・昭和17年8月7日に米軍がガダルカナルとツラギ島へ上陸。
・陸軍が陸戦において初めて米軍に負けたのがガダルカナルであった。
・情報の貧困。
・戦力の逐次投入。
・米軍の水陸両用作戦への対応不足。
・陸軍と海軍がバラバラの状態。
・米軍はガダルカナル攻撃が日本本土直撃の一里塚であるという基本的
デザインがあった。

(4)インパール作戦 ―― 賭けの失敗
・昭和19年3月にイギリス軍の主要拠点への攻撃開始。
・徐々に悪化する戦局を打開し戦勢を挽回するための賭けとしての性格
を有していた。
・しなくてもよかった作戦。
・人間関係を過度に重視する情緒主義や強烈な個人の突出を許容する
システム。
(部下の反論に耳をかさない牟田口第15軍司令官。昭和12年の盧溝橋
事件では現地軍の連隊長として独断で中国国民政府軍への反撃を許
可して日中戦争のきっかけを作った。)

(5)レイテ海戦 ―― 自己認識の失敗
・昭和19年10月に敗色濃厚な日本軍がフィリピンのレイテ島に上陸し
つつある米軍を撃滅するために行った起死回生の捨て身作戦。
・当時の日本の連合艦隊艦艇の8割を当て、米軍は900隻という史上
最大の大艦隊で臨むという世界の海戦史上最大級の海戦となった。
・日本的精緻を凝らしたきわめて独創的な作戦計画のもとに実施された。
が、参加部隊が任務を十分把握しないまま作戦を実施し、統一指揮不在
のもとに作戦は失敗したと解説されている。
・広域な同時多発的な戦闘の展開に当たっては的確な情報・通信システム
が不可欠であったが、艦隊間の通信機能障害が致命的となった。
・高度の平凡性の欠如をフィールドは著書「レイテ湾の日本艦隊」で指摘
している。
[1]聡明な独創的イニシアティブが欠けていたこと
[2]命令または戦則に反した行動をたびたびとったこと
[3]虚構の成功の報告を再三報じたこと

(6)沖縄戦 ―― 終局段階での失敗
・昭和20年4月1日より開戦。
・作戦目的があいまい。
米国の本土上陸を引き伸ばすための戦略持久か航空決戦かの間を揺れ
動いた。
・大本営と沖縄の現地軍にみられた認識のズレや意思の不統一。

【前記六つの作戦に共通する性格】

(1)戦略上の失敗要因分析

[1]あいまいな戦略目的
明確な統一目的がなかった。目的のあいまいな作戦は必ず失敗する。

[2]短期決戦の戦略志向
緒戦において勝利し南方の資源地帯を確保して米国の戦意を喪失させ
講和を獲得するという路線を漠然と考えていた。

[3]主観的で「帰納的」な戦略策定 ―― 空気の支配
日本軍の戦略策定は一定の原理や論理に基づくというよりは、多分に
情緒や空気が支配する傾向がみられた。

[4]狭くて進化のない戦略オプション
必勝の信念という精神主義とあいまって軍事技術の軽視につながり、
米軍のレーダー技術によって行動を監視されるようになっていたにも
かかわらず、緒戦の奇襲戦法が重んじられた。海軍は大艦巨砲、艦隊
決戦主義が唯一至上の戦略オプションになった。

[5]アンバランスな戦闘技術体系
ある部分は突出して優れているが、他の部分は絶望的に立ち遅れていた。
「大和」と「零戦」のような米軍をはるかに凌ぐような兵器の開発もあ
れば、風船爆弾、明治38年に制定された三十八式歩兵銃、レーダー開発
に遅れた対空兵器などがあった。
日本軍の技術体系では、ハードウェアに対してソフトウェアの開発が
弱体であった。
兵器があっても弾丸がなかったり、艦艇があっても石油が確保されて
いないということがたびたび見られた。

(2)組織上の失敗要因分析

[1]人的ネットワーク偏重の組織構造
集団への奉仕と没入とを最高の価値基準とするという「集団主義」で
はなく、人間と人間との間の関係(対人関係)それ自体が最も価値あ
るものとされる「日本的集団主義」に立脚していた。
組織目標と目標達成手段の合理的、体系的な形成・選択よりも組織メ
ンバーの「間柄」に対する配慮であった。
ガダルカナル島撤退決定を遅らせる結果になった陸軍と海軍の関係。
ノモンハンにおける中央の統帥部と関東軍首脳との関係などに見られ
る。

[2]属人的な組織の統合
大本営陸海軍部は昭和15年末頃から相互に連絡を取りながら作戦計画
を策定した。しかし、これはあくまで陸軍、海軍独自の作戦計画であ
って統合作戦を目指したものでなかった。
日本軍の作戦行動上の統合は、結局、一定の組織構造やシステムによ
って達成されるよりも、個人によって達成されることが多かった。

[3]学習を軽視した組織
日本軍には、失敗の蓄積・伝播を組織的に行うリーダーシップもシス
テムも欠如していた。ガダルカナルの失敗は日本軍の戦略・戦術を改
めるべき最初の機会であったが、それを怠ってしまった。

[4]プロセスや動機を重視した評価
ノモンハンの辻少佐の事例に見られるように、戦闘失敗の責任はしば
しば転勤という手段で解消された。その結果、辻少佐に見られるよう
にフィリピンでも独断で米比軍捕虜射殺を命じたり、モレスビー攻略
命令を専断命令し重大な損害を強いられた。さらにガダルカナル島戦
においても現地司令部の意向を無視して攻撃方面変更を行い、将兵の
大半を戦死させてしまうという失敗を繰り返した。
日本軍は結果よりもプロセスを評価した。この戦闘においても戦闘結
果よりもリーダーの意図とかやる気が評価された。

【日本軍の失敗の本質に対する今日的課題】

組織が継続的に環境に適応していくためには、組織は主体的にその戦略・組
織を環境の変化に適合するように変化させなければならない。
つまり、主体的に進化する能力のある組織が自己革新組織(セルフ・オーガ
ニゼーション)である。
組織はセルフ・オーガナイジング行動を通じて日々進化を遂げていく。軍事
組織も例外でない。
適応力のある組織は、環境を利用して絶えず組織内に変異、緊張、危機感を
発生させている→不均衡の創造

【検証失敗の本質/合理的に失敗する組織・・・慶應義塾大学教授 菊澤研宗】

今年のハーバードビジネスレビュー1月号に定説化されつつある日本軍の失
敗の理由である「空気論」にメスを入れた論文が菊澤研宗氏により発表された。
空気論については発生のメカニズムに及んでいなかったがその点にメスを入
れている内容である。2009年度ノーベル経済学賞を受賞したオリバー・E・ウ
ィリアムソンの“取引コスト理論”に従って分析している。

(1)山本七平の空気論

山本七平氏は日本軍組織の意思決定プロセスに注目し、「空気」の存在とそ
の非合理性を追求した。空気が発生すると意思決定者は沈黙し、沈黙という合
意の下に組織は非合理的な決断をするというものである。神風特攻隊も戦艦大
和の特攻作戦も空気で決まったと海軍反省会で関係者は証言している。

山本七平氏の「空気の研究」より抜粋すると「大和の出撃を無謀とする人々
にはすべてそれを無謀と断ずるに至る細かいデータすなわち明確な根拠がある。
一方出撃を当然とする方の主張は、根拠は全くなくその正当性の根拠は『空気』
でありあらゆる議論は最後には『空気』で決められる。アメリカ軍の実力も知
り尽くし、海も船も空も知り尽くした専門家が下した判断であって無知・不見
識・情報不足による錯誤は考えられない。連合艦隊司令官の戦後の言葉は、私
は当時“ああせざるを得なかった”と答える以上に弁疏使用とは思わないと発
言している。あらゆる議論や主張を超えて拘束している『何か』は大問題から
日常の問題や突発事故などが起きた時の行動パターンに見られ、教育も議論も
データもそして科学的解明も歯が立たない『何か』である。戦後この空気の威
力は相変わらず猛威を振るっているように思われる。空気がムードに置き換え
られ、さらに竜巻状になるのがブームであろう。この空気がすべてを統制し、
強力な規範となって各人の口を封じてしまう現象は昔と変わりない。」
と述べている。

しかし、菊澤研宗氏によると、山本七平氏の説明は状況描写にとどまってお
り、どのようにして空気が発生し、何故意思決定者が発言しないのかという説
明にはなっていないという論文を発表した。

(2)戦艦大和特攻作戦における伊藤長官の論理的思考

戦艦大和特攻作戦は海軍の正式なプロセスを経て決定し、伊藤長官ならびに
護衛官庁たちに説明された。しかし、帝国海軍始まって以来初めて現場指揮官
が軍令部の命令に反対するという異常事態が起きた。
自殺行為に等しい作戦に伊藤長官は納得できず反論したが、「一億玉砕」と
いう議論の余地のない組織決定を聞き反論も不審の究明もせずこの作戦を了解
した。論理的に納得したのではなく空気の決定に従ったのだと山本七平氏はい
う。

(3)空気が発生するメカニズム ―― 取引コスト

伊藤長官及び護衛艦長たちが反対意見を取り下げ「空気に従う」までの論理
的判断をオリバー・E・ウィリアムソンの“取引コスト理論”にしたがって菊
澤研宗氏は次のように説明している。
「全ての人間は完全に合理的でなく、完全に非合理的でもなく、限られた情
報の中で限定合理的に行動すると仮定している。そして機会があれば相手のス
キにつけ込み利己的利益を追求する機会主義的存在でもあるとする。このよう
に限定合理的で機会主義的な人間同士が自由に取引する場合、互いに相手を警
戒し、駆け引きする。それゆえ人間の交渉・取引には様々な駆け引きに伴う多
大な無駄が発生する。この無駄が『取引コスト』である。組織にとって、もし
不正を公表することに伴う取引コストがあまりにも大きければ、公表すること
によって得られるメリットを差し引いても不正を隠し続けたほうが特になる場
合がある。この場合組織にとって社会的合理性と組織の個別合理性不一致とな
る。人間は個別合理性を追求したほうが得との判断のもとに、不正の隠蔽を選
択する。この計算合理性が組織を不条理に導くことになる。このとき組織のメ
ンバーの行動は反社会的となる。彼らはそれを自覚しているので、自分たちの
行動の正当性を公言できず沈黙せざるをえなくなる。やましき沈黙。これが『
空気』発生のメカニズムである。」

(4)計算合理性に基づく意思決定

非合理で非効率であった大和の特攻作戦に反対し、大和を温存して戦いに敗
れた場合の事前・事後に発生することが予測された取引コストが反対派に反論
をできなくし、沖縄特攻を巡る空気が発生し、取引コスト理論による合理的判
断が下された。
初めから空気が存在していたのではなく一人ひとりが合理的に計算しその結
果、沈黙し決定に従うことが得だという点で計算が一致したのである。
その取引コストは以下のようなものであった。

・卑怯者と揶揄されないような論理的反論による説得の取引コスト
・天皇陛下を説得する取引コスト
・神風特攻隊に対し無傷の海軍水上部隊は役立たずという偏見が定着してしま
った後で、その偏見を取り除くためのあまりにも高い取引コスト
・敗戦濃厚の中で大和が戦勝軍の戦利品として見世物になることが予測される
場合、事後に阻止するための交渉のあまりにも高い取引コスト

【いかにして空気に水をさすか】

“取引コスト”は以前にご紹介したことがある“防衛コスト”と同じく、会
計上現れない「目に見えないコスト」であるが、ほとんどの人間はその存在を
認識できる。
全ての人間が合理的ならばより正しく効率的な方向へとものごとを修正する
ことができる。合理的な「空気による意思決定」に反論するには、参加者が負
担する取引コストを低減し、社会的合理性と個別合理性を一致させる必要があ
る。取引コストをゼロにするような完全な制度を形成するには最大のコストが
かかる。
限定合理的な人間は最大のコスト負担を避けようとするので完全な制度を形
成しようなどとは考えないと結んでいる。
我々が自分の周りに存在する理不尽な「空気」にどのように対峙していくか
が、予測できない不透明な時代の個々に課せられた大きな課題である。

【空気の歴史】

徳川時代と明治初期には少なくとも指導者には「空気」に支配されることを
「恥」とする一面があった。
「いやしくも男子たるものが、その場の空気に支配されて軽挙妄動するとは
・・・」という言葉にも表れているように空気に支配されてはならないとされ
てきた。
しかし、昭和期にはいると「空気」の拘束力は次第に強くなり、空気は不可
抗力であり個人の責任が免除されるまでになってしまった。
「最近は空気を読め」ということばをテレビなどでよく耳にするが、空気拘
束主義は益々異論を唱えにくい空気をかもし出している。この傾向を反省し、
明治時代以前の「その場の空気に支配されない」自己追及型の国民性を取り戻
さなければならない。

【日本人を覆う心の敗戦からの再生】

非日常的な戦争という集団体験から導き出された「失敗の本質」というテー
マから日常的な組織的失敗を想定しにくいが、柳田邦男氏の「この国の失敗の
本質」では身近な事例が数多く紹介されている。
日本人が猛烈なガンバリズムで手に入れた「モノ」と「カネ」と引き換えに
「心」と「精神性」を失い、1990年代半ばから一挙に官僚や企業人のスキャン
ダルが噴出した。
この「心の敗戦」から再生するには「心のバブル化」に気づかなかった指導
層の変身か退陣しかないと柳田氏は指摘している。
心のバブル化により噴出した医療事故、公害、災害、原子力発電所の事故、
航空機事故、少年犯罪、福祉汚職、薬害エイズと権威主義、カリスマ支配の怖
さなどの事故・事件例から戦後システムを立て直す以下の四つの必要条件を
提言している。

(1)失敗の調査システムの確立
(2)「素人が前面に出るシステム」をあらゆる場面で作ること
(3)情報公開の原則を確立すること
(4)動乱の猛者よ輩出せよ

【パラダイムシフト】

欧米にお手本のない時代の技術開発において、開発手法が欧米キャッチアッ
プ型の短期決戦時代から、自前開発型の非効率・長期決戦になっており、大量
生産時代の効率とスピードという過去の日本経済成功の価値観が日本経済失速
という現実を映し出しているにも拘らず、いまだに古い価値観が組織的空気を
醸成している。
(1)成功体験からの脱却
(2)既存の枠組みを超える商品の開発
(3)逆境をはねのけるプラス思考というパラダイムシフト
が必要とされているのである。
このような時代において、日本軍から今日の企業にまで一貫して継承されて
いる日本の組織的弱点、欠陥を解明した「失敗の本質」こそ、過去の愚を繰り
返さないための座右の書である。また、奥田碩前会長がトヨタ幹部に薦めたと
いわれている「日本は何故敗れるのか」山本七平氏で分析されている敗因21カ
条も現在の我々のビジネスに通じる意味深い内容である。

《引用文献》
・ハーバードビジネスレビュー 2011年1月号
「検証失敗の本質 日本軍『戦略なき組織』」株式会社ダイヤモンド社
・失敗の本質 日本軍の組織論的研究
戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎
1984年 ダイヤモンド社
・「空気」の研究 山本七平 1983年 文春文庫
・この国の失敗の本質 柳田邦男 1998年 講談社
・日本はなぜ敗れるのか 山本七平 2004年 角川書店

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
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