相変わって

2013年1月16日

社長メッセージ

相変わって


取締役社長 三木 康弘

 明けましておめでとうございます。
 癸巳(みずのとみ)の年となりました。蛇は脱皮をすることから「復活と再生」を連想させるといいますが、日本は安倍総理の政策を受けて円安・株高トレンドで新年を迎えました。是非とも日本が元気を取り戻し、世界に貢献する新たな存在価値を発揮していく年になってもらいたいと強く念願します。

 住友中興の祖と言われる広瀬宰平氏は、明治3年正月の住友家新年宴会で「新年、相変わりましておめでとうございます」と挨拶をしたところ、吉礼を破る失礼な挨拶をとなじられました。しかし「相変わらずでは、住友家は倒れます。一同相変って旧を捨て新を取り、禍を転じて福となさねばなりません」と応酬したといいます。

 何か新しいことを行おうとすると必ずマイナス面を捉え抵抗勢力が生まれるものですが、絶対の善というものは存在しません。最善策を時機と影響を見計らいながら、一貫した方針のもと貫き通すことが大切と思います。ますます激しくなるグローバル競争に打ち勝つには、他に真似の出来ない独自の価値を生み出し、提供し続けていくことしかないと確信します。

 日本ならでは、日本企業ならでは、自社ならではの価値をモノに換えていくことにより、昨年までの自分から相変わって脱皮する行動をしていきたいと思います。今年もご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

今月のトピックス

平成24年度社内成人式開催


平成25年1月16日(水)

当社は、1月16日、本社・徳島工場で本年度に成人を迎えた社員6名の社内成人式を行いました。

「平成24年度産総研本格研究ワークショップin四国」にて基調講演

平成24年12月21日(金)

当社は、2013年1月29日にサンメッセ香川で開催されます「平成24年度産総研本格研究ワークショップin四国」にて基調講演及びポスター展示をいたします。

新機能性材料展2013に出展

平成24年12月10日(月)

当社は、2013年1月30日~2月1日に開催される「新機能材料性材料展2013」 の「一般財団法人四国産業・技術振興センター」のブースに出展いたします。

シリーズ ~ 微生物と感染症 ~

-  第10回:超清潔社会とアレルギー  -  取締役フェロー 濱 義紹

 2~3年前の鳥インフルエンザの流行が話題になって以来、抗菌ウエットティッシュや消毒液が公共施設やオフィスの玄関先で多く見られるようになってきた。
 これらの現象に先立ち、衛生状態の改善が現代人の免疫バランスを崩し始めたことが2005年のサイエンス5月号に取り上げられた。
 今回は超清潔社会とアレルギー、抗生物質とピロリ菌、そして週刊東洋経済の2012年9月8日で紹介された食物とアレルギーについて、一面だけの対策を取ると思わぬところでバランスが崩れ別の新たな問題が起きるということが、微生物が関与する生物界でも起きていることについて考えてみたい。

【超清潔社会の落とし穴】・・・参考文献(1)

 アレルギーは本来無害な刺激に対する過剰な免疫反応であるが、花粉症やアトピー性疾患など、現代人に急増してきた近年のアレルギー疾患について、本書では「先進国でアレルギー疾患が増加した原因の一つに、生活水準の向上や予防接種の普及、抗生物質の普及により乳幼児に細菌やウイルス、寄生虫に感染する機会がなくなったことが挙げられる」との説明がされている。

 そして1950~1960年には結核や回虫症が10万人当たり400~600人もいた患者数は、1960 年以降激減し、1990年には回虫症はゼロとなり、結核も2000年にはグラフで見ると25人位まで減少している。

 一方、1960年代後半よりアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息の患者が大幅に増え始めており、アレルギー性鼻炎の患者数は2000年以前に10万人当たり400人を超えており、結核や回虫症と逆転している。
 1950年代に戦後復興のため植林された杉が樹齢30年を超えた1980年代より花粉を飛散させ、スギ花粉症が急激に広がったとされている。

 欧米食に多いリノール酸はアレルギー炎症を引きおこしやすく、アレルギー炎症を抑える作用があるといわれている日本食に多いリノレン酸の摂取量が減ったことによる、脂質の摂取バランスの崩れもアレルギー疾患を促す原因の一つとされている。
 気道アレルギーの増加は化石燃料の排気ガスや粒子状物質(PM)が免疫バランスを崩す原因となっていると考えられている。

【ピロリ菌の功罪】 ・・・参考文献(2)

 ピロリ菌は何十年間も人の胃にすみ続け、宿主の人間の免疫応答にもかかわらず、胃に持続的にダメージを与え続ける菌でるが、衛生状態が大幅に改善され、抗生物質の使用でピロリ菌がいなくなってしまう人もいる。

 

 胃がんを発生させやすいピロリ菌は、強酸性の人の胃の中で生きている唯一の菌であるが、1875年に既にドイツの解剖学者によって発見されている。
1900年の米国におけるガンの死亡率の最も高かった胃ガンは2000年までに、発病率と死亡率が8割も減少しており、宿主がヒトだけのピロリ菌の消滅が進んできたことがこの驚異的な胃ガンの減少に繋がっていると説明されている。

 しかし、一方で酸逆流性疾患、パレット食道、食道の腺ガンが反比例的に急増しており、5年生存率10%という恐ろしい食道の腺ガンが増加している。絶滅への道を歩み始めたピロリ菌が、肥満や糖尿病患者などの一部の人に恩恵を与えていると考えられることから、健康増進に役立つ経口摂取可能なプロバイオティクスとして胃に戻したほうがいい場合もあるのではないかとの模索が始まっている。

【年齢別食物アレルギー原因物質】・・・参考文献(3)

 食物アレルギーとは、特定の食物(アレルゲン)の摂取により、ジンマシン、腹痛、嘔吐、息苦しさ、呼吸困難などの症状が出ることである。
 年齢別にアレルゲンの順位が異なっていることが週刊東洋経済で報じられている。
 食後2時間以内に発生する即時型食物アレルギーの主な原因食物がまとめられているが年齢とともに変化していくことが興味深い。アレルゲンとして、鶏卵、牛乳、魚卵、ソバ、果物、ピーナツ、木の実、小麦、甲殻類、果物類、魚類などが挙げられている。

 これらのアレルギーの新たな治療法を行っている機関もあり、患者が殺到しているとのこと。その方法はアレルゲンの誘発閾値の10分の1から摂取し毎回20%ずつ増やす方法であるが、急性アレルギー反応であるアナフィラキシーを起こす恐れもあるため専門施設での専門家による指導が必要とされている。

 人類が長年付き合ってきた微生物の悪い面だけに注目し、一つの病気を撲滅すると別の菌による大きな問題が発生する点は、経済の合成の誤謬に似ている。
 今回は命には大きな影響はないが、患者にしかわからない超清潔社会がもたらしたアレルギーを中心に取り上げた。
 生物界はバランスにより成り立っていることを再認識し、何か手を加える場合、環境保全におけるLCA(ライフサイクルアセスメント) や製造業におけるFMEA(故障モード)的発想の必要性を痛感する。

≪参考文献≫

(1)日経サイエンス 2005年5月号 日経サイエンス社
   「細菌の現象がアレルギーを招く崩れる現代人の免疫バランス」 
    P.30~37 白川太郎/渡邉映理(京都大学)
(2)日経サイエンス 2005年5月号 日経サイエンス社
   「ピロリ菌の意外な効用」
    P.22~29  M.J.ブレイザー(ニューヨーク大学)
(3)週刊東洋経済 2012年9月8日号 東洋経済新報社
   「貧食の時代  今や乳児の10人に一人 急増する食物アレルギー」
    P.74~75 小林美希

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