紙で地球を守る

2013年5月27日

社長メッセージ

紙で地球を守る


取締役社長 三木 康弘

 5月は一年で一番すがすがしく、自然の若々しいエネルギーを感じます。徳島名産の筍はほぼ味わい尽くされ、残った筍は破竹の勢いで成長しています。そしてその竹も成長するためにはしっかりとした太い節を作りながら伸びていきます。今年アベノミクスで急上昇していた株式市場は一時急落し思惑から乱高下がありましたが、大きく成長するための太い節を作る良い時期を迎えたのではないかと思います。

 一方四国地方は、梅雨入り前の渇水時期に入りダムの貯水量が気になる毎日です。過去の経験から地下水の利用やリサイクル設備を強化してまいりましたが、自然の恵み特に水資源の大切さや有難さを痛感するこの頃です。

 当社はその地域資源である豊かな河川や社会によって生かされているとの思いから、環境との調和を目指した商品の開発を使命と考え事業展開をして参りました。そしてこの度、廃水処理商品(M-fine)を本格的に事業化することといたしました。

(MBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜ユニット「M-fine」)
http://www.awapaper.co.jp/products/detail/m-fine_mbr.html

 「紙で地球を守る。エコロジーを考える。」をキャッチフレーズに機能紙・機能材料メーカーならではの技術とノウハウで世界中の廃水浄化およびリサイクル推進の一翼を担っていきたいと考えています。皆様のお声をしっかりとお聞きし破竹の如く育てて行きたいと思っておりますので、様々なご意見アドバイスなど賜りますようお願い申し上げます。


今月のトピックス

地域創造型科学技術副読本「サイエンスとくしま」に掲載される


平成25年5月22日(水)

当社は、地域創造型科学技術副読本「サイエンスとくしま」に先端技術例として取り上げられました。

阿波製紙(上海)有限公司が「安全生産標準化二級企業」に認定される


平成25年5月15日(水)

阿波製紙(上海)有限公司は、上海市安全生産協会より「安全生産標準化二級企業」に認定されました。

シリーズ ~ 技術者のエスプリ ~

-第39回:経営戦略・第3の方法・試行錯誤アプローチ「やってみないとわからない」 - 
  取締役フェロー 濱 義紹

 「みんなで止まる青信号」的様相を呈していた日本社会が、アベノミクスにより動き始め、特に輸出型企業は円安効果が顕著に現れ始めた。この上昇気流に乗って、日本再生のための真の変革が必要な時期に来ている。

 東京丸の内の丸善で入手した「もう終わっている会社」の著者古我知史氏の言葉を引用すると「日本は未来をリストラし、米国は過去をリストラした」とある。 ・・・参考文献(1)
 高度経済成長による資産バブルと過剰設備投資、その後の景気後退、解決策としての選択と集中によるリストラクチャリングが日米で行われてきた。
 日本における選択と集中は、コア事業への回帰と称し、成熟産業や変革のない安定した市場にやみくもに押し戻したのに対し、米国では、多くの会社のバラバラな選択と集中が、世の中における産業構造の新陳代謝という新たな均衡を生み出し、将来のコア事業になりうる可能性のあるものに集中して注力するというものであった、と説明している。

 当時の米国での未来に向かうベンチャーの挑戦や大手の起死回生の事業群の中にあったのがいまや大衆化されたパソコン、インターネット、モバイル端末であり、現在のグローバル・バーチャル世界が実現しているのである。
 その頃のすべての日本企業が選択して集中したのは、新たな資源や新たなシーズや新たな市場ではなく、既に成功を享受したバブル前の安定であり、元の鞘に収まってしまっただけであった。

 古我知史氏が米国のシティバンクに在籍していた1990年代の世界に先駆けて導入した社内メールについて同氏は、送信セットアップまでに呪文のようなコマンドを打ち込み、送信先をいちいち書き込み、送信先が多いと送信モードのまま30分ほどフリーズしてしまうという代物であったことと、この社内メールを導入した頃のシティバンクには猛烈なリストラの嵐が吹き荒れていた頃で、日本の経営者ならこんな非効率な実験的なイントラネットの採用を意思決定していないであろう、と語っている。

 アメリカ経営学の影響を大きく受けてきた我が国が辿った道と米国が辿った道が何故このような対極にあるのか、経済素人が知る術もないが、今回は日本が影響を受けてきたアメリカ経営学の大きな流れと、現在たどり着いた注目の学説に触れる。

【日本の企業が翻弄されたアメリカ経営学の歴史】・・・参考文献(2)

 新しい経営学説がアメリカで発表されるたびに、出版社やコンサルティング関連組織から新説が紹介され、アメリカ経営学の流れに乗り遅れまいと本を買いあさり、その手法は99.7%を占める中小企業までが真剣に取り入れようとしてきた。
 これらのアメリカ経営学の歴史を網羅的に解説した書籍が、このたびディスカヴァー・トゥエンティワン社より「経営戦略全史」という題名で出版された。過去に心酔してきた経営学者や取り入れてきた手法や耳慣れた用語が集約されている。
 我々日本企業が中小企業に至るまで翻弄されてきたアメリカ経営学をそれぞれの立場で整理しなおさなければならない時期にさしかかっている。
 そして、このような学説の試行錯誤の中から現在のバーチャル情報化社会が生まれてきたという、アメリカの「現在世の中にないものに向かう力」、「人の行動原理を変える力」を学ばねばならない。

【今までの経済学説からの大転換 ―― 超試行錯誤経営】・・・参考文献(2)P5、P8、P370、P371

 この数十年間の経営戦略史を、もっとも簡単に表すと、「1960年代に始まったポジショニング派が1980年代までは圧倒的で、それ以降はケイパビリティ派が優勢となった」と説明している。

 ポジショニング戦略とは外部環境が大事で、儲かる市場で儲かる立場を攻めれば勝てるという立場である。マイケルポーターが旗手。
 ケイパビリティ戦略とは内部環境が大事で、自社の強みがあるところで戦えば勝てるという立場である。ジェイバーニーが旗手。
 山登りにたとえるとポジショニング派は「登りやすい道を探せ」、ケイパビリティ派は「登りやすい方法で登れ」と言える。

 そして21世紀に入って、経済・経営環境の変化や技術革新のスピードは劇的に上がり、イノベーションの時代に突入し、ポジショニング戦略もケイパビリティ戦略も役に立たなくなり登場したのがアダプテイブ戦略である。
 どんなポジショニングで、どのケイパビリティで戦うべきか、さっさっと試行錯誤して決めようというやり方である。
 要するに「やってみなくてはわからない」という試行錯誤型戦略である。

【グーグルに見られる超・試行錯誤型経営】・・・参考文献(2)P335~339

 試行錯誤による成功例の中から、グーグルの超・試行錯誤型経営が「経営戦略全史」の例に挙げられている。検索サービスが根幹にあるグーグルでは、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにするため、年間7000回の試行錯誤による改善が行われていると言う。

 成長の原動力は小規模ベンチャーのイノベーションから始まり、業界をひっくり返すような破壊的イノベーションは遠く離れたところから密かに始まると「イノベーションのジレンマ」でクレイトン・クリステンセンは主張している。

 このような見地からグーグルは本業に特化せず、一見ムダな試行錯誤を小さくいろいろやってみるしかないという立場を取っている。
 選択と集中戦略ではなく、次世代探索型戦略なのである。

【組織老化の防止】・・・参考文献(3)

 日本の社会は現在、制度疲労と組織の老化による閉塞感に覆われており、多くの企業では突破口を見出すためにいろいろな活動が行われている。会社にも老化があり、どこかでリセットをかけないと再生できない状態に陥ってしまう。
ぎりぎりのリセットの代表的な例は、米国におけるジャック・ウェルチのGEの再建と、日本では誰もが知るカルロスゴーンの日産自動車におけるリストラと稲盛和夫氏のJALにおけるリストラがある。

 ウェルチは「人を切ったのではない。その職務を切ったために、それを担当していた者がやめることになっただけだ」と千回以上説明したといわれている。
稲盛和夫氏は「JALの整理解雇、人件費削減断行は過去との明確な決別である」と語っている。

 終わってしまいそうな会社を生き延びさせるためには、大胆なコスト削減のためのリストラクチャリングが必要であることを多くの事例が示している。
 老化の兆候を「会社の老化は止められない」からランダムに抜粋したものを以下にご紹介する。自社の老化度チェックと老化という宿命をどのように乗り越えるかも含めて、詳しくは本書を参照されたい。

 ・変化に対する抵抗、習慣への固執
 ・一度得たものは手放せない
 ・手段が目的化する
 ・ルーチンワークが増加する
 ・「いまあるもの」は「いまないもの」を駆逐する
 ・顧客サービスより自社組織
 ・非効率な定例会議の増加
 ・会議の肥大化、部門の細分化、規則の増加
 ・予算・手続き・縄張りによる意思決定の遅れ
 ・コミュニケーションコストの増加
 ・「オレは聞いていない」の増加
 ・社内評論家の増加
 ・例外自慢大会(新しいことを導入しようとすると例外事項対応の意見が飛び交う)等々

 偶然が支配する未来に対し、我が国が戦後、がむしゃらに開拓してきた経済界はこの試行錯誤によって成り立ってきたはずである。自然科学の学問に実験・実習が存在するのも、やってみなくてはわからないからである。まだ経験したことのない未知の世界に入っていくための実験であり、実験により派生してきた事実が新発見に結びつくことは、技術者は誰しも経験していることである。

 日本をダメにしてしまった効率化一辺倒の戦略で失われてしまった「向こう見ずの精神」を取り戻すことと、手の内がわかるような競争戦略から脱皮し、ポジショニング戦略とケイパビリティ戦略を取り入れたグーグル的超試行錯誤によるアダプテイブ戦略の実行にこそ日本の99.7%を占める中小企業の活路があると思う。

≪参考文献≫

(1)もう終わっている会社(本気の会社改革のすすめ) 古我知史 2012年 ディスカヴァー・トゥエンティワン
(2)経営戦略全史 三谷宏治 2013年 ディスカヴァー・トゥエンティワン
(3)会社の老化は止められない 細谷功 2013年 亜紀書房


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