期待に応える

2013年6月18日

社長メッセージ

期待に応える


取締役社長 三木 康弘

 梅雨の季節にも関わらず、快晴の日が多いこの頃です。
 先般、古くからのお取引先である台湾の方にご招待を頂き、四国今治で貨物船の進水式に参加してきました。予報では台風が心配されていましたが、南の国々の人たちから日本は何と暑い国かと苦情?が出るほどの晴天の中、関係者をはじめオーナーのご親戚、ご友人、親しい方々に見守られ、盛大にセレモニーが執り行われました。そして見事に3万8千トンの大型船が出港して行きました。期待を超える感激の初体験でしたが、アジアの仲間の意気込みと結束力、ハイレベルのパワーに圧倒される体験でも有りました。

 今やかつて中進国と言われていた台湾、韓国、シンガポールなどの企業が、様々な分野で日本を追い抜き活躍しています。その要因は、グローバル化であり教育と研究開発の充実であると言われます。我々も危機感を持って、負けない努力とパートナーとしての有機的連携を一層図っていかなければと思いました。

(タイ ユナイテッド アワペーパー バイオマスボイラー・新事務所棟完成)
http://www.awapaper.co.jp/news/news_20130615_253.html

 現在北アイルランドで開かれていますロックアーン・サミットで世界に日本の取り組みが発表されましたが、第三の矢は真にインパクトが低いように思います。
 斬新かつ大胆な財政方針、異次元の金融緩和などの言葉と行動から、これまで期待感が大きく膨らんでいったのは事実と思います。今回の成長戦略は、法人税減税を含め理屈の通った現実的な省庁の意見に引き寄せられ、期待感を萎ませる危惧を覚えます。言葉は魔術にも幻滅にも信頼にも成りますので、自ら信念に市場や国民の期待を化合させて、心に響く政策を立案・実行して頂きたいと思います。

 6月は総会シーズンですが、当社も今月26日に、上場後初めての株主総会を開催致します。身を正し真摯に説明責任を果たし、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えして参りたいと存じます。

今月のトピックス

タイ ユナイテッド アワペーパー(T.U.A.) バイオマスボイラー・新事務所棟完成


平成25年6月15日(土)

当社グループの子会社であるタイ・ユナイテッド・アワペーパーにおいて、バイオマスボイラーと新事務所棟が今年5月に完成いたしました。

シリーズ ~ 技術者のエスプリ ~

-第40回:最後の砦 世界標準の仕事をこなせる人材育成- 
  取締役フェロー 濱 義紹

 時代と共に企業が求める人材像が変化している。
 戦後、日本の企業が欧米に追いつけ追い越せのスローガンで突き進んでいた頃は、企業から大学に求められた人材は、基礎教育を充分習得した「白紙状態の学生」だったと、当時の某国立大学の教授から聞かされたことがある。

 経済的大躍進を遂げた日本は、バブル崩壊後、欧米技術のキャッチアップ型研究開発から抜け出し、日本発の基礎研究開発体制の構築が急務となった。
 当時、日本でとられた方策は、選択と集中による効率化経営であり、どこのメーカーでも行われるようになっていた。
 求める学生像も「即戦力」に変化していき、大学側も即戦力学生を養成するために、「(1)コミュニケーション能力」「(2)プレゼンテーション能力」「(3)デザイン能力」「(4)創造力」の4つの能力が習得できるような教育カリキュラムを組んで学生を指導した大学もあった。

 経済再生のために効率化の道を選んだ我が国の産業界は、現在その代償として、非常時に対応力を失ってしまい、脆さを露呈し、現場力低下よる事故が全国的に増えている。・・・参考文献(1)
 これらの状況から、今後どのような人材が求められるのか、整理してみよう。

【マッキンゼー流人材像】・・・参考文献(2) P46、P64、P210~211

 元マッキンゼー「採用基準」の著者伊賀氏は、地頭よりも論理的思考力よりも大切なものを本書で説いている。マッキンゼーのようなコンサルティングを行う組織では、暇さえあれば何かについて考えている思考意欲の高い人、考えつくすことができる人が求められており、採用したいのは「将来グローバルリーダーとして活躍できる人」であリ、将来のリーダーとしてのリーダーシップが最も重要なスキルであると説明している。

 世界の多様なニーズに対応するため、意思決定システムも分散型になり、全員にリーダーシップが求められる時代になっている。リーダーシップがトップだけに求められた中央集権的な意思決定システムだけでは世界中のニーズを汲み上げることができなくなっており、グローバル企業においては、分散型の意思決定システムが不可欠になってきていると説明している。

【グローバル人材】・・・参考文献(2) P170

 グローバル人材を欲しがる日本企業は、「商品が日本で売れなくなったので、外国語ができ、海外でも日本と同じようにモノを造ったり売ったりする人材が必要だ」と考えているだけであり、優秀なスタッフは沢山いるのに優秀なリーダーがいないということに気づいていないと、元マッキンゼーの「採用基準」の著者伊賀氏は痛烈に批判している。

【グローバル人材の幻想】・・・参考文献(3)P30~34 P41

 日経ビジネス2012年12月24日-31日号で「グローバル人材の幻想」というテーマで特集が組まれている。日本企業が「グローバル人材の確保」という経営課題に振り回されているため、「周回遅れの人材育成」と題し、次のような幻想にとらわれていることが指摘されている。

  [幻想1]   機会を与えれば人は育つ
  [幻想2]  海外人材ならいつでも採れる
  [幻想3]  うちは人材を活かしている

 また、本社から充分な支援を受けられない駐在員の現地での会話に出てくるフレーズに「OKY」という言葉があり、その意味は「Oお前が K来て Yやってみろ」らしい。
 本社の上司や社員に対する不満は多くの企業に存在しているようだ。これらのことに対する解が、同じく本書の特集の中で日産の志賀俊之COOによって説明されている。
 グローバル人材育成に10年以上をかけて推進してきた志賀氏によると、「人材のグローバル化は一朝一夕には実現できない」、「本社こそ抜本改革が必要」あり、「目指すべきは、組織、制度、企業風土を含めた本社のグローバル化にある」と説く。

 「採れない」、「育たない」、「活かせない」という成果の上がらないグローバル人材育成施策の抜本的見直しが始まっている。経営課題として掲げている企業必読の特集である。

【世界標準の仕事】・・・参考文献(4) P5~6

 外国語コンプレックスの強い日本人にとって、英語力そこそこでもグローバルな仕事ができる34のルールを示した本である。
 さらに内容は、国内にいながらグローバル人材になることを目的として書かれた本である。
 最初の5つだけをご紹介する。

 [ルール1] 人の前に立つ
 [ルール2] 結果を先に考える
 [ルール3] ストーリーを紡ぎだす
 [ルール4] 「新鮮な違和感」から発想する
 [ルール5] 100人の専門家を結集する

 このルールの説明に入る前の序文に書かれているグローバル式と島国式の違いを記してある内容が興味深い。

 日本式     ・・・ まわりにあわせる
 グローバル式  ・・・ 構想にあわせる
 島国企業    ・・・ はじめに人ありき
 グローバル企業 ・・・ はじめに戦略あり

 日本にいながら、本気でグローバル化に取り組んでいる企業の人達の参考になる本である。

【創発人材】・・・参考文献(5)P63

 何が起きるかわからない、答えがない時代を拓く創発人材が必要とされる時代である。
「想定外」、「非常識」、「絶対不可能」といわれるような困難なテーマに挑戦する逸材を見つけてその能力を開花させてきた元キャノン研究所長の著書「創発人材をさがせ」より技術面の人材について取り上げる。
 創発人材とは、危機感を常に持ち、将来のニーズが洞察でき、熱くビジョンを語ることができ、メンバーに夢を語りモチベーションをあげることができる人であると説明している。
「仕事はできるのに認められない、探究心旺盛で、管理を嫌い、扱いにくく、要領が悪く、付き合いが苦手で、主流でないところに生息している」様な人の中に、想定外の逸材がいると、経験から著者村井氏は述べている。

 効率化、コンプライアンス、統制などの過剰管理が引きおこしているイノベーション阻害要因を、試行錯誤による失敗を生かした成長と発展が基本である技術面にまで持ち込まれた管理主義の弊害を取り除かねばならない。技術イノベーションは効率化とは対極に位置するものである。

【後継者育成】・・・参考文献(6) P3~5

 ソフトバンクの孫正義氏は、自身の後継者育成のため、ソフトバンクグループおよび内外から受講者を募り、「ソフトバンクアカデミア」という学校で「意思決定の極意」と「孫の二乗の兵法」というテーマで2回の公開特別講義をひらいている。
 「意思決定の極意」では30の二択の質問から直感的に意思決定する講義であり、「孫の二乗の兵法」では理念・戦略を語ったものである。
 本書では講義の順番とは逆に構成されており、読者の直感的意思決定と孫氏の選択した意思決定が比較できるようにしている。真のリーダーの意思決定の背後にある戦略論がよく読み取れる。
 最後の文章は「やりましょう」は、もっとも重要な「兵法」なのですと結んでいる。

 組織の成長と発展に欠かせないのは人である。武田信玄の軍学書「甲陽軍艦」に記されている勝利の礎に「人は城、人は石垣、人は堀・・・・」とあるように組織の最後の砦は信頼関係のある人集団創りであることは、現在の経済界で市場を巡って戦っているのも、領地を巡って戦った戦国時代も変らないのである。

≪参考文献≫

(1)日経ものづくり 2013年6月号 「効率化の代償」  日経BP社
(2)採用基準 伊賀泰代 2012年 ダイヤモンド社
(3)日経ビジネス 2012年12月24日 「グローバル人材の幻想」 日経BP社
(4)「世界標準」の仕事術 キャメル・ヤマモト 2011年 日本実業出版社
(5)創発(はぐれ)人材をさがせ-イノベーションを興す 村井啓一 2011年 日本経済新聞出版社
(6)孫正義 リーダーのための意思決定の極意 新書編集部編 2011年 光文社



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