Phase1:創業期
地域とともに始まった、紙づくりの挑戦
1916年、阿波製紙は徳島県で初めての"機械漉き和紙メーカー"として誕生しました。当時、徳島の主力産業だった阿波藍が衰退し、地域は新しい産業を必要としていました。そんな中、文明開化で全国的に紙の需要が高まっていたことや、もともと徳島県で製紙原料である楮(こうぞ)や三椏(みつまた)が豊富に産出されていたことなどが追い風となり、地域の人々の手によって阿波製紙が設立され、紙づくりが始まったのです。工場が建てられたのは、徳島市名東郡加茂村(現在の徳島市南矢三町)。近くを流れる鮎喰川の伏流水は製紙に適しており、物流の拠点としても発展していました。1号抄紙機を導入し、書道用の半紙や京花紙など、暮らしに根ざした紙の生産がスタート。中でも書道半紙は品質の高さで注目を集め、やがて全国シェア25%を獲得するまでに成長しました。戦時中は原材料の統制や空襲の影響を受けながらも、製紙業を止めることなく、地域を支える"ものづくりの灯"を守り続けました。困難な時代でしたが、この経験が阿波製紙の粘り強さの原点となったのです。