【阿波製紙】昇竜の意気込み

2012年1月23日

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  ■ AWA PAPER NEWS ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
 ┃                                                                
 ┃       機能紙・不織布の共同開発メーカー 阿波製紙株式会社        
 ┃                    vol.85 【 2012/ 1 / 23 】        
 ┃                                        
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  https://www.awapaper.co.jp/ 

 ┌──┐
 │目次│   
 └┬─┘      
  ├ 01:[ ご 挨 拶] 今月の社長メッセージ
  ├ 02:[二 ュ ー ス] 人事異動のお知らせ    
  └ 03:[シ リ ー ズ] 技術者のエスプリ
            (第28回:課題先進国から課題解決先進国へ)
            
                       
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┃ ■  ご 挨 拶 ■
┃――――――――――――――――――――――――――――――――――
┃ 昇竜の意気込み
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                                                   取締役社長 三木康弘


 壬辰の年が明けました。昨年は国難の年であり、人と人の絆の大切さをあら
ためて教えて頂いた年でありました。新たな年を迎えられた事に感謝し、また
その喜びを分かち合い、そしてこの一年を皆様と共に夢を掲げて昇竜の意気込
みで臨みたいと存じます。
 今年の干支は、「任されてやり遂げなければならないことが多く、様々な負
担を克服して果実を生み出し、物事が進展する希望の持てる年」を表している
そうです。

 日本においては大震災や原発問題を克服して国民の長期的安心安全と幸福の
追求を実現するために、欧州においては世界的バブルの後始末のために、政治
家の皆様に一致団結出来る体制をつくって頂きたいと念願します。
 経済界としましても過去の常識で考えるのでは無く、今の常識を再考し、や
るべきだけど出来ていないような事をやり抜いて、世界経済を大リストラして
いく年にしなければならないと思います。

 自社においては、円高を利用して出来ることは何だろうか。より安心安全を
高めるためには何が必要だろうか。お客様の真に求めている価値は何であろう
か、地域社会のために何が出来るであろうか。夢と希望をしっかりと示し、自
問自答しながらやるべきことを断行していく年にしたいと思います。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。



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┃ ■ 今月のトピックス ■
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 │■ トピックス 1 人事異動のお知らせ
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 │平成24年1月1日(日)
 │ 当社は、2012年1月1日付で、下記のとおり人事異動を行いましたので
 │ お知らせ致します。
 │ → https://www.awapaper.co.jp/company/news215.html
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┃ ■ シリーズ ~ 技術者のエスプリ ~ ■
┃――――――――――――――――――――――――――――――――――
┃  ~ 第28回:課題先進国から課題解決先進国へ  ~
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                              取締役常務執行役員  濱 義紹


 21世紀を迎えた2001年1月3日号の週刊ダイヤモンドで取り上げられた総予測
100項目の47番目のコラムが目に留まり、保存版として保管し、進歩と変化が話
題になる場面で引用させてもらっている。
 著者林光氏(当時:博報堂生活総合研究所主席研究員)の予測は『「問題解
決」のための技術だけが世界に通用する』というものであった。
 地球規模での環境問題、持続可能な循環型社会実現問題、エネルギー問題、
健康問題、高齢化社会問題、貧富の格差問題、BCMS(事業継続マネジメントシ
ステム)問題、水資源問題、食糧問題等々、グローバルな問題が噴出しており、
干支一巡してその時代になったことを痛感している。
 IT産業でよく用いられた「ソリューションビジネス」は、いまや全産業、全
世界で人々が対応しなければならない人類社会全体の大命題となっている。

【進歩と変化】

 『「問題解決」のための技術だけが世界に通用する』という林光氏の言葉を
以下に要約する。
 世の中の動きは2種類あり、ひとつは進歩、もう一つは変化である。進歩は
理科系の科学や技術に顕著に現れており、目的のあるなしにかかわらずテクノ
ロジーは進歩する。一方、変化は予測することも、保持することも自律的には
難しい。個人の価値観も揺らいでいる中で世の中の価値観がどこを向くかなど
その変化の方向などわかるはずがない。ましてや20世紀の100年という長い時間
にどれほどの変化の波が押し寄せては引いていったことかと、時間軸を進歩と
変化という視点から分析している。

 林光氏の説に従って21世紀に入ってからの変化を振り返ってみると、リーマ
ンショック、中国の躍進、新興国の台頭、EU経済のかげり、超円高、東日本大
震災、原発事故など次々と予測不能、コントロール難航の変化の波が次々に押
し寄せていることを実感する。
 進歩も変化も人類の願望がその基礎にはあるが、国家や集団になると個人の
思いとは裏腹に望まないことが望むことへと変質してしまうことがある。代表
的なものが戦争である。
 未来を予測するよりも、望まないことへ流れが進まないよう強い思いで人類
の平和や地球環境のことを考え、問題解決に向かう強靭な願望を持つことの重
要性を説いている。本当に世界のために役立つ技術、いまだ解決に至らない問
題の解決策となる技術だけが世界から認められるものとなり、それ以外はたと
え進歩軸上にあってもおいそれとは受け入れがたい状況がまっているだろうと
予測している。
 エネルギー問題で進歩軸の最先端にあった原子力が、災害リスクにより循環
可能な自然エネルギーの見直しと実用化に向けた転換を余儀なくされている現
状も「変化への対応」のわかりやすい例である。

【未来予測】

 未来は予測するものではなく創造して行くものだという言葉もあるが、現在
の延長線上にある客観的な未来予測も、判断基準のひとつとして必要だと思わ
れるため、代表的なものを次に掲げる。

(1)「経済・社会の成熟化サイクル」から見た未来予測
   (15年周期仮説による:週刊ダイヤモンド コラム45より引用)

 過去について次のように15年毎に経済変化を分析している。

 [明治33年~大正 3年] 量的拡大期        第二次産業革命(重工業)
 [大正 4年~昭和 4年] 質的深化期        消費文化開花
 [昭和 5年~昭和19年] パラダイム変換期  戦時統制システム
 [昭和20年~昭和34年] 離陸期            基幹産業復興
 [昭和35年~昭和49年] 量的拡大期        大量生産システム
 [昭和50年~平成 1年] 質的深化期        高度化多様化
 [平成 2年~平成16年] パラダイム変革期  情報化グローバル期

 21世紀を迎えた2001年は平成13年であり、パラダイム変革期の終盤に差し掛
 かっていた時期であった。
 現在と近未来は次のように捉えており現在を表している。

 [平成17年(2005年)~平成31年(2019年)]  離陸期
 [平成32年(2020年)~ ]          質的拡大期

(2)科学技術の未来予測
  (応用物理学会:アカデミック・ロードマップより引用)

 科学技術の未来予測として応用物理学会より応用物理分野の「アカデミック
 ・ロードマップの作成報告書」が2008年に発行されており、経済産業省によ
  ると「産業化の道筋は描けないが科学技術に大きなインパクトを与える領域」
  と定義されている。
 発展予測を次の19分野に分け2005年から2040年までのロードマップが分野毎
 にさらに詳細に紹介されており、物理学が科学発展の元であることを痛感す
 る。応用物理学会のホームページでも紹介されているので是非一覧をお勧め
 する。

  [1]シリコン
  [2]有機・分子
  [3]テラヘルツ・エレクトロニクス
  [4]量子情報・物理
  [5]フォトニクス
  [6]オプティクス
  [7]放射線理工学
  [8]ワイドバンドギャップ半導体エレクトロニクス
  [9]結晶成長
  [10]プラズマプロセス技術
  [11]磁性スピンエレクトロニクス
  [12]バイオエレクトロニクス
  [13]医療エレクトロニクス
  [14]マイクロ・ナノエレクトロニクス
  [15]ナノ構造技術
  [16]超伝導技術
  [17]環境・エネルギー技術
  [18]人材育成
  [19]食糧技術

 一例として上記19分野のなかの[3]をさらに細分化した内容を見ると次の
 通りである。

   ◆ テラヘルツ・エレクトロニクスの将来展望
   ◆ 情報処理・通信への応用
   ◆ 安全・安心な社会の構築
   ◆ 物質・生命科学、創薬などへの応用
   ◆ 生体・医療応用
   ◆ 環境エネルギー応用

 残り18分野もこのように再分化したロードマップが準備されている。

(3)経済産業省技術戦略マップ(経済産業省HPより)

 「技術戦略マップ2010」で対象とされた技術は8領域31分野にわたる。
 経済産業省によると「産学官協力で生まれる革新技術が産業化の壁を突破する
 領域」と定義されている。

 [1]情報通信
    半導体、ストレージ・メモリ、コンピュータ、ネットワーク
    ユーザビリティ、ソフトウエア

 [2]ナノテクノロジー・材料
    ナノテクノロジー、部材、ファイバー
    グリーン・サステイナブルケミストリー

 [3]システム・新製造
    ロボット、MEMS、設計・製造・加工、航空機、宇宙

 [4]バイオテクノロジー
    創薬・診断、医療機器、再生医療、生物機能活用技術

 [5]環境
    CO2固定化・有効利用、脱フロン対策、3R、化学物質総合評価管理

 [6]エネルギー
    エネルギー、超電導技術、二次電池

 [7]ソフト
    人間生活技術、サービス工学、コンテンツ

 [8]融合戦略領域
    持続可能なものづくり技術、計量・計測システム

(4)企業内技術ロードマップ

 経済産業省によると「現状の技術水準で産業化が開拓できる領域」と定義され
ており、企業各社が独自に行っている近未来のロードマップである。

【課題先進国 ― キャッチアップからフロントランナーへ】

 博報堂の林光氏が2001年に予測した「問題解決の技術」に関する発展型として、
三菱総研理事長(元東京大学総長)の小宮山宏氏著の『「課題先進国」日本』と
いう本が中央公論新社より2007年に発行され、次のようなことが紹介されている。
 我が国は、環境汚染、エネルギー、資源、廃棄物、少子高齢化、住宅、医療、
教育、などの分野でまだどこの国も解決したことのない課題が山積し、課題先進
国から課題解決先進国に向かって進んでおり、日本の課題が世界の課題となる時
代が到来している。
 日本は明治時代以降、欧米の文化や技術をキャッチアップで導入してきたが、
1968年世界第二のGDPを達成しトップランナーの仲間入りをしたとき、「これか
らは先進国として世界を先導し、世界に貢献しながら発展していくのだ」と考え
るべきであったのに、キャッチアップの精神があまりにも深く染み込んでしまっ
ていたので、欧米から学ぶべきことが無くなってしまったとき、新しい時代の進
むべき方向を見失ってしまった。
 キャッチアップは追いつけ追い越せの時代には、「アメリカでは」とか「イギ
リスでは」とかのように、「~では」と海外の技術を論文発表するだけの人達が
多く存在し、その人たちを皮肉って「出羽の守」と呼んでいたらしい。
 バブル崩壊のあと「失われた15年」と言われたが、小宮山氏によると、キャッ
チアップの考え方から抜け出せなかったのは、GDP世界第2位になった年の1968
年から数えて「失われた40年」であると述べている。
 先進国としての日本の進むべき道は、新しい課題に対してゼロから自分でモデル
をつくり、新しい社会システムを創造するフロントランナーでなければならない。
フロントランナーとして課題解決のためのモデルをつくるということは、外国に
答えを求めず、自分の課題を自分で考え、答え=モデルをつくるというマインドを
必要とする。
 明治時代以来のキャッチアップスタイルが終焉し、国際競争力の源泉としての
感性豊かな日本発の新しいモデルが世界に導入される時代がはじまったのだと小
宮山氏は課題解決先進国としての日本の明るい新国家像を描いている。

【課題解決先進国 ― 日本に世界が学ぶ時代】

 『「課題先進国」日本』が発刊されてから5年を経た今年の『Voice1月号』に小
宮山氏が『「グリーン」と「シルバー」で世界を導け』という新たな考え方で
「プラチナ社会構想」を提案している。著書『「課題先進国」日本』では網羅的に
課題を提案していたが、『Voice1月号』では明確な目標に言及している。
 21世紀の成長は、有限の地球を想定した成長であり、プラチナ社会構想の考え
方は最低限求められる条件として下記の三つを満たす社会作りである。

(1)公害などの心配のない美しい環境
(2)高齢者が参加できるということ
(3)雇用があること

 2010年8月に「プラチナ構想ネットワーク」が発足し、2050年までに環境問題と
高齢化問題を解決し、新しい産業を生み出して雇用を創出しようとする「プラチ
ナ社会構想」が実現に向かって中央政府ではなく地域主導で進んでいる。
 ものを買って成長するという社会モデルが通用しなくなってきた。「無限の地
球」を前提とした発展モデルを脱し、「有限の地球」を想定した成長を目指すと
いう発想の転換を図らねばならない。
 人工物が先進国から発展途上国へ向かって拡大する「普及型需要」に代わり、
有限の地球の中で内需を創り出す「創造型需要」に軸足を移すことの重要性が説
かれている。
 それは工業化社会の二つの負の側面を克服することであり、一つは大量生産・
大量消費から生じた資源不足や環境汚染を反省し、エネルギー・環境問題を改善
するもの、もう一つは経済発展の産物としての少子高齢化を逆に社会繁栄の好機
とするものである。
 新たな産業を創出するためには社会実験が不可避であり、そこから生じる失敗
や経験をもとに制度を一から構築していこうとする取り組みが始まっている。日
本はオイルショックで直面したエネルギー危機の克服と工業化社会における公害
の克服という世界初の偉業を成し遂げた国である。
 現在では効率80%の瞬間湯沸かし器を効率200%のエコキュートに換えるだけで
エネルギー効率が2.5倍になるが、これをアメリカの熱高率40%の蓄熱型給湯器と
置き換えればエネルギー効率が5倍にもなり、給湯エネルギーは80%も削減できる
ことになる。
 このような卓越した日本の技術は世界の低炭素社会に貢献できるのである。現
在も世界の課題の先駆けとなって創造型需要であるグリーンイノベーションと高
齢化対応で、日本に世界が学ぶ時代が到来したのである。

【2つの未来 ― 2015年日本の選択】

 戦時体制並みの国債を発行している我が国は、団塊世代が年金受給資格を得る
2015年までに、日本は自らの針路を決定しなければならない。
 政府債務残高のGDP比は日露戦争時には60%、太平洋戦争末期に180%であった
が、2009年には200%を超えてしまった。
「リスクをとって成長へ」または「成長よりも現状維持」の選択が目の前に迫っ
ている。

【日本の素材産業の実力】

 日本の素材力は東日本大震災で顕著に現れた。日本の素材がないと川下製品が
作れない状態が明らかになり、サプライチェーンの重要性が叫ばれた。サプライ
チェーンの入り口にある日本の素材産業の技術革新が新たな世界の課題解決に貢
献する時代が来ている。
 次世代航空機用の炭素材料、LED用のチッ化ガリウム、原子力発電所メルトダウ
ン防止用の1350℃耐熱性の炭素レンガ、海水淡水化用の逆浸透膜、リチウムイオ
ン電池用部材、自動車用半導体、超伝導ケーブル等々。
 「素材は国家なり」の著者長谷川慶太郎氏と泉谷渉氏は対談の中で“円高でも
日本経済の優位は変わらない”と述べている。

 日本の多くの企業が欧米の技術のキャッチアップでここまで発展してきたが、
現在キャッチアップできるものはほとんどなくなってしまい、新たなシステム作
りのための自律的な対応を迫られている。
 これからの我々日本の製造業は、規模の大小に拘らず、小宮山氏の唱えるよう
にフロントランナーの自覚をもって世界の未解決課題に取り組み、過去の経験則
からは答を導き出せない課題に対し、実験・実証による課題解決を行い、新たな
ビジネスモデルの道を切り開いていかねばならない。


《引用文献》
 ・週刊ダイヤモンド「2001年総予測」 
   2000年12月30日/2001年1月3日新春合併号 ダイヤモンド社
 ・応用物理分野のアカデミック・ロードマップの作成報告書 2008年
   社団法人応用物理学会
 ・Voice 2012年1月号「日本に世界が学ぶ時代」PHP研究所
 ・「課題先進国」日本 小宮山宏 2007年 中央公論新社
 ・日経ビジネス 環境特別版 「環境で描く成長戦略」2010年12月6日
                            日経BP社
 ・日経ビジネス  2010年1月4日号「日本を救う夢の技術」日経BP社
 ・素材は国家なり 長谷川慶太郎/泉谷渉 2011年 東洋経済新報社



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