侃侃諤諤

2013年3月26日

社長メッセージ


取締役社長 三木 康弘

 先週末は東京の川べりや街角を歩いてきました。ソメイヨシノもしだれ桜も満開を迎え、こんなに街中に隠れていたのかと思うほど華やかに装っていました。徳島では蜂須賀桜が散り、少し遅れてこれからソメイヨシノの時季を迎えます。仕事の上でも新年度が始まる春を実感するこの頃です。

 今週は当社の入社式と定年退職者の送別式が行われます。いずれの方も新生活を始められる大きな節目となります。その様な節目に際しては、「初心忘るるべからず」と言う言葉をよく耳にしますが、自分自身の初心は何であったろうか?とじっくり思いかえしてみたいものです。

 新年度ならびに新中期の計画がスタートするに当たり、目標実現に向けてどこまで侃侃諤諤(かんかんがくがく)議論を尽くしベクトルを合わせられるか、最大限の力を発揮できるかどうかの、とても大切な時期を迎えています。アメーバ経営では仕事の後のコンパも大変重要視されていますが、歓送迎会、決起集会、ミニコンパなどは、新入社員から大ベテランまで異なる感性と体験と知識を混合させるまたと無い機会です。新年度を目前に、全社の知恵を結集したベストプラクティス(※)を創出し、その初心を胸に刻んでキックオフしたいと思います。関係各位の方々からも、是非とも多くのご意見ご指摘を頂けますようお願い申し上げます。

(平成25年度新入社員 入社のご案内)
 ⇒ https://www.awapaper.co.jp/news/news_20130326_246.html

※ベストプラクティス(英: best practice)は、ある結果を得るのに最も効率のよい技法、手法、プロセス、活動などのこと。


今月のトピックス

平成25年度新入社員 入社のご案内


平成25年3月26日(火)

当社は、3月26日に平成25年度の新卒採用として、大卒5名、高卒5名の新たなメンバーを迎え入れました。

「徳島LEDアートフェスティバル2013」に協賛


平成25年3月26日(火)

当社は、4月20日(土)~29日(月)に徳島市中心部で開催される「徳島LEDアートフェスティバル2013 」に協賛しています。

シリーズ ~ 技術者のエスプリ ~

-  第37回:ボリューム国家からクオリティ国家へ  -  取締役フェロー 濱 義紹

 加工貿易立国ニッポンの貿易収支が2011年に31年ぶりに赤字に転落した。日本は大成功した工業国家モデルに合った法律や制度や教育システムから抜け切れておらず、過去のパラダイムを引きずっている。
 加工貿易立国モデルにおいては、日本が得意としてきたスマイル曲線で言う「川中」で戦うモノづくりの時代は終わった。今回は大前研一氏の著書「クオリティ国家という戦略」より規模の拡大を目指すボリューム国家と質の向上を目指すクオリティ国家について考えてみたい。

【加工貿易立国モデルから新たな国家モデルへ】・・・参考文献(1)P23~36

 大前研一氏は著書「クオリティ国家という戦略」の中で、以下のように述べている。

(1)
加工貿易立国という国家モデルを守るためには基幹産業とそれを支える部品産業、すなわちサプライチェーンが、その国の中に揃っていなければならない。日本企業は日米貿易戦争以降、生産地をアメリカ、中国、東南アジアなどにどんどん分散していった。そこに日本という国から富が逃げていくトリックが生まれた。

(2)
「日本を支えてきた加工貿易立国モデル」はコモディティ化が進み、韓国や中国にキャッチアップされ、それに代わる新たな国家モデルへのパラダイムシフトが行われていない。アメリカは工業国モデルを放棄して「サービス産業国モデル」に既にシフトしているのに対し、日本は脱・日本を加速させ、得意としてきた工業国家時代の製造業を生きながらえさせようとしているだけである。

(3)
日本はかつて「加工貿易立国」という国家モデルで大成功したがゆえに、もはや加工貿易立国モデルが破綻したにも拘らず、いまだにその成功モデルから抜け出せていない。日本は、早急に加工貿易立国とは異なる新たな国家モデルへの移行をすることが、いま日本に必要とされている国家戦略のパラダイム転換である。

【ボリューム国家からクオリティ国家へ】・・・参考文献(1)P34~43

 加工貿易立国モデルでボリューム国家を目指し大成功を収めた日本であるが、少子高齢化で人口が減少していく中で、人口が2倍あるアメリカや人口が10倍もある中国やインドにかなうはずがなく、現在の延長線上に「解」はないということは明らかである。一人当たりのGDPを維持するためには人件費の安いコモディティ工業モデルでは新興国に太刀打ちできない。

 スイスの精密機械やドイツの産業機械のような付加価値が高くて他の国には真似のできない「専門的な工業国家モデル」を目指すべきであり、そのためには教育改革や税制の優遇措置や投資の傾斜配分が必要となる。そして、高コスト、高賃金でありながら付加価値の高い産業を生み出すことでボリュームと低コストに対抗するクオリティ国家を目指していくことが大切と大前氏は述べている。
 クオリティ国家の例としてスイス、シンガポール、北欧、USA、カナダ、オーストラリア、OPEC、ノルウェーが一人当たりのGDPが高い国として挙げられている。

【スマイルカーブ】

 全ての産業に当てはまるわけではないとも言われているスマイルカーブは、日本の産業を全体で捉えると、川中の組み立て・製造を行っているモノづくり企業が大きなダメージをこうむっている。


 大きな要因はグローバル化と技術革新である。電子産業に当てはめると、川上はマイクロソフトなどの基本ソフトメーカー、川中はパソコンや携帯電話の組み立てメーカー、川下はアップルのiPod7や任天堂のゲーム機などが該当する。
 日本はビジネス全体をサプライチェーンの視点の垂直統合の部分と異業種なども含めた業界内での水平分業によるあらたなシステム作りを考え、川中一辺倒からの脱出を図らなければならない。

【イノベーションのステージアップ】・・・参考文献(2)P56~62

 経営上のイノベーションについては、創造的破壊とか変化への対応とか全体最適とか技術革新とかの抽象的表現で語られる事が多いが、ハーバードビジネス2013年3月号で、ロンドン・ビジネス・スクール客員教授ゲイリー・ハメル氏が経営に関するイノベーションについて過去と現在と未来についてピラミッドのような多層構造でイノベーションの進化レベル毎に詳しく述べている。

(1)一番下の段 ―― オペレーション上のイノベーション
    製造の効率化、ビジネスプロセスのアウトソーシング

(2)二段目 ―― 製品・サービスでのイノベーション (6ヶ月の効果)
    新投資商品、画期的新製品

(3)三段目 ―― ビジネスモデルのイノベーション (10年以上の効果)
    製品やサービスを超えたもの、業界のルールを変える

(4)四段目 ―― 構造的イノベーション(現在日本が直面しているステージ)
    新たに統合された産業構造全体

(5)五段目 ―― マネジメントイノベーション (永久的競争優位)
    人間が働く方法自体を新しくする

【産業経済から知識経済へ、そして創造的経済の時代へ】・・・参考文献(2)P56

 ゲイリー・ハメル氏は「我々の世界は産業経済から知識経済へ移行し、更にそれが今、創造的経済に移行してしまいました。そのジレンマに日本は直面しています。日本企業は並外れた職業倫理や熱心な継続的改善によって、自動車産業、電子産業で世界の頂点に立ってきたのですが、それが新しい創造的経済の時代に適応しなくなっているのです」と説明している。

【大量生産・効率性からの脱皮】・・・参考文献(2)P56~58

 硬直したヒエラルキーや中央集中化、過剰管理などが競争力を脅かすものとなっている。


 標準化、専門化、ヒエラルキー、調整、コントロール、予測、などは管理主義の一翼を担うものであり、これが高精度製品を製造するためのプロセスを支えてきたが、過剰管理は大きなコストとなり、パッションやクリエイティビティの阻害要因となっているという研究結果もあると説明されている。

≪参考文献≫

(1)クオリティ国家という戦略 大前研一 2013年 小学館
(2)Harvard Business Review 2013年3月号「経営の未来」ダイヤモンド社



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