科学的追究

2018年2月26日

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 ■ AWA PAPER NEWS ■ 
                                                               
    機能紙・不織布の共同開発メーカー 阿波製紙株式会社        
   vol.158 【 2018/ 2 / 26 】        
                                       
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 ≪目次≫ 
       
 01:[ ご 挨 拶] 今月の社長メッセージ
 02:[二 ュ ー ス] 新機能性材料展2018に出展
 03:[二 ュ ー ス] 阿南事業所 工場棟および倉庫竣工について
 04:[シ リ ー ズ] 若き日の回想 (第45回:感性への想い)

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 ■  ご 挨 拶 ■
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 科学的追究
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                                      取締役社長 三木康弘


 平昌冬季オリンピックが華々しく開催されました。日本は金4個を含む
史上最多13個のメダルを獲得し、感動と手に汗握る興奮を沢山頂きました。
鍛錬を積み、周到に準備を重ねて臨んだアスリートと支えるスタッフの
人たちの偉大さに心が揺さぶられる17日間でした。また開催国の韓国には、
限られたインフラ環境や複雑な政治情勢もあった中、最大限の素晴らしい
舞台を準備してくれたことに敬意を表したいと思います。
2年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国民、企業みんなで
世界のアスリートをおもてなし出来るよう協力していかなければと
改めて思いました。

 他方4年に一度のスポーツの祭典は、レベル向上のスピードと科学的な
追究の極みに、恐れをも感じる進化を実感させられました。
単純な努力や経験の積み重ねでは到達が不可能な領域に踏み込まれ、
人間の限界に到達して来ているのではないかとさえ感じました。
何事も臨界点に到達したときには、大変化や大爆発が起きると言います。
この先スポーツ界は、どんな手法でどんな世界を見せてくれるのでしょうか。

 同様に日常の生活や企業の事業形態も大変革期に来ていると言われます。
ICTやAIの発展は、働き方どころか有史以来の人間らしさを変えてしまう
勢いで変革を求めてきています。企業経営をしていく中で、もはや
その流れに乗らずには生き残れない無常さを強く感じます。今あらためて
変わらないモノづくりの原点を再認識しつつ、意図を明確にして
人間にとってより良くなる道具として最新技術を使いこなさねばならないと
思っています。 

 日本の時間当たり労働生産性は先進国の中で最下位、世界21番目(2016年)
です。一つの指標ではありますが向上余地は多く、高い目標を掲げ
日々の改善を実践し、臨界点まで迫ってみたいものです。当社においても
限界を突破する業務運営システム構築に挑戦しつつ、経営理念達成に向けた
計画を練っていきます。その中核は人間であり、働き方改革の言葉に
踊らされることなく、あるべき姿を明らかにして全社員が物心両面の幸せを
感じるような次世代の経営を科学的に追究して行きたいと思います。



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 ■ 今月のトピックス ■
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 ■ トピックス 1  
   新機能性材料展2018に出展
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 平成30年2月19日(月)
 当社は、2018年2月14日~16日に東京ビッグサイトにおいて開催されました
 「新機能性材料展2018」の「一般財団法人四国産業・技術振興センター」
 ブース(小間番号:3K-24)に出展いたしました。
 → https://www.awapaper.co.jp/news/news_20180219_371.html
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 ■ トピックス 2  
   阿南事業所 工場棟および倉庫竣工について
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 平成30年2月9日(金)
 当社は、かねてより阿南事業所にて建設を進めてまいりました工場棟
 および倉庫が完成し、2月9日に竣工式を執り行いました。
 → https://www.awapaper.co.jp/news/news_20180209_372.html
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 ■ シリーズ ~若き日の回想~ ■
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 第45回 - 感性への想い
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                      研究開発部 高原 豊


 入社して7~8年が経過した頃のことです。その頃になると建材関連用途の
紙の開発や改良が主な仕事で…特に脱アスベストは当時の大きな課題の一つでした。
一口に脱アスベストといっても1種類の材料で代替え出来るわけではなく、
何種類かの材料を複合することでやっとアスベスト紙に近い性能を
叩き出せるのです。そういった材料の中で一際気になる存在が、紛体でした。
これらは、見た目は何の変哲もない粒の形状をしておきながら、それぞれ
独自の機能が潜んでいるのです。例えば、難燃性をもたせるには水酸化アルミや
水酸化マグネシウムを、それから脱臭性能をもたせるには活性炭を、
更に吸湿効果を出すにはゼオライトを配合するといった具合です。
このように何らかの目的で紙に添加する粉類のことを填料と云いますが、
この填料は見た目だけでは想像できない機能をもっていて…その意外性に
いつの間にか、魅かれるようになっていました。 

 或る日、建材用の試験のために紛体を使った手すきをしていた時のこと…
“これだけ便利な機能をもっているのなら、もっと昔から紙に応用されて
いてもいいのでは…?”ふとそう想ったのです。それからというものは填料に
触れるたびに気になって仕方がなく、歴史をひも解いてゆくことにしました。

 調べてみると8世紀にはアラビアやトルコで、布屑などを材料にして
作られた紙の中に填料が多く含まれていたという報告がありました。
更に中国では魏晋南北朝時代(3~6世紀)頃には填料が用いられていたようです。
ここが初めてという所まで特定できませんが、 紙が発明された2世紀から
そう遠くないのではないかと想いました。もちろんその頃は手すきなので、
大量に生産されていた訳ではありません。本格的に填料として
利用されるようになったのは、フォードリニア兄弟によって紙を連続的に
生産できる長網抄紙機が発明されて間もなく、1807年頃からでした。
その頃に添加された填料は、なんとコストダウンが第一の目的だったようです。
しかし紙の普及に伴い、その種類の増加や性能向上の要求に対応するために、
填料の重要性が認識されるようになってきました。特に増加する新聞用紙や
印刷用紙等に対して印刷技術が向上して来たために、それに対応して
填料の最適化が求められるようになってきたのです。   

 外国ばかりで、なんだか面白くないような…
“日本の填料はどないなってるんやろ??”と、そして、“地元日本のことやから、
なんかやらかしてくれたんとちゃうかなぁ??”と想い直し日本の
歴史も辿っていくことにしました。日本では鎌倉時代13世紀に、
杉原紙(すぎはらがみ)と呼ばれる和紙に填料が使用されていたそうです。
元々中国からきたものですが、その填料とはなんと米粉だったのです。
米粉は(※1)不透明度を向上させたり表面を密にしたり白くしたり
することにより印刷や筆記に適した効力を発揮することから、印刷用紙や
公用紙として利用されるようになり、その製法は徐々に広まっていきました。

 18世紀になると浮世絵が一世を風靡するようになり、特に安藤広重や
北斎の作品は、日本だけでなく世界の芸術家にまで影響を与えたと
云われています。そして彼らの作品のように鮮やかな色彩表現を
可能にしたのが当時の版画紙だったのです。この版画紙には先程の米粉が
3割近くも含まれていて、版画を作るのに大変優れた機能をもっていたそうです。
例えば、米粉が多く含まれることによって平滑性と白さが増すと同時に、
インクののりが良くなり滲み(にじみ)も少なくなります。更に湿度に対する
寸法安定性が向上してくることから、色を変え版画を何回摺っても
色ずれし難くなります。しかしそうはいっても浮世絵の神秘に迫ると科学的な
根拠だけでは推し量れないものがあって…“人の感性まで映しだせる紙へと
進化を遂げた”そう想えてなりませんでした。

 浮世絵と云えば、幼少の頃「東海道五十三次」シリーズや「見返り美人」の
美しさに魅せられて、切手を集めだしたのを想い出しました。次回は、
この続編で填料を使った実験や先輩とのやり取りの様子をご紹介していきます。
来月号も宜しくお願いします。


(※1)不透明度
 光が紙を透過しない割合のことで、この値が大きいほど裏側が見え難くなります。




最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
ご質問、ご感想などを下記にお寄せいただけましたら幸いです。



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