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【2019年8月号】妥協の産物

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≪目次≫ 
       
 01:[  ご挨拶  ] 今月の社長メッセージ
 02:[ ニュース] 「「エヌプラス ~新たな価値をプラスする素材・技術の展示会~」に出展
 03:[二ュース]  「下水道展'19横浜」に出展
 04:[  コラム  ] オープンイノベーションによる非連続的な改革について

【ご挨拶】
妥協の産物           取締役社長 三木康弘

 暑い夏もあっと言う間に通り過ぎ、朝夕は涼しくなって来ました。梅雨明けが遅かったせいか、当地の阿波踊りが台風の為半分の2日間の開催となってしまったせいか、今年の夏は随分短いと寂しさを感じるこの頃です。
 さて、世界経済に対する懸念払しょくを期待した仏ビアリッツG7サミットが閉会しました。マスコミの報道の様に、初めて「首脳宣言」の採択が異例の1枚紙となり、実質的に取り纏めを断念する事となってしまいました。自由貿易や地球環境を守りながら、世界経済の成長や戦後の国際秩序の維持などの重要性とそのために積み重ねられてきた努力が、崩壊の危機に瀕しています。
 一方日米の貿易協定は、一気呵成に大枠合意に達しました。「政治とは妥協の産物であり、可能性のアートである」と言う言葉を聞いた事がありますが、内容は正に妥協の産物です。懸念も残りアートとは言えませんが、良好な関係の維持に成功したことは、世界にアピールされたことと思います。

  ビジネスの世界でも、利害が噛み合わず自己主張をしあう事で結果お互いに損を被ると言う事があります。勿論そうならない様な努力をするわけですが、大事な事は双方が妥協点を探りウィン・ウィンを目指すと言う「思い」をもっているかどうかだと思っています。妥協する事も出来ない雰囲気が世の中に漂っている様ですが、不信による不妥協の連鎖を断ち切るには、絶対的な仲介者と時間が必要と考えます。共有する法の支配に委ねる事や時間をかけて工夫を凝らす事も重要でしょう。すべてにおいて人間の叡智と勇気と思いやりを持って困難に立ち向かえば、必ず道は拓けると信じます。
  
 当社は今、激変する経済や取引環境の中で、下期計画の見直しを行っています。マイナスがあれば穴埋めをする日々の努力をするのみ、憂うるより活路を見出す強い思いと正しい心で天の理に適った経営を追求していきたいと思います。

  間も無く訪れる令和初の秋が、皆様にとって豊穣をもたらす事をご祈念申し上げます。

【今月のトピックス】

 ■ トピックス 1  
 「エヌプラス ~新たな価値をプラスする素材・技術の展示会~」に出展
当社は、2019年9月11日(水)~13日(金)に東京ビッグサイトにおいて開催されます「エヌプラス ~新たな価値をプラスする素材・技術の展示会~」の「耐熱・放熱・断熱展(HEAT-TEC)」(小間番号: E1-01)に出展いたします。
  → https://www.awapaper.co.jp/news/products/410.php

 ■ トピックス 2  
「下水道展'19横浜」に出展
当社は、2019年8月6日~9日の4日間、パシフィコ横浜において開催されました『下水道、くらしを支え、未来を拓く 下水道展'19横浜』に出展いたしました。
  → https://www.awapaper.co.jp/news/products/409.php

【コラム】
オープンイノベーションによる非連続的な改革について   執行役員研究開発部長 横田 博

 ものづくり白書2019年度版によると、「経営者が変革を直視し、競争環境の変化を契機として非連続的な改革に取り組み、新しいビジネスチャンスをつかむことが、今後ますます重要となる。」とあります。
 一方、日本発の技術としてリチウムイオン電池、液晶ディスプレイなどの高付加価値デバイスが中国、台湾、韓国へ主戦場を移しつつコモディティ化している現状があります。

 ここで言うところの「非連続的な改革」とは何でしょうか?
 私は新しいビジネスチャンスを掴む手段として改革を日常業務へ落とし込む場合は、連続的な改革と非連続的な改革を適宜バランスよく進めていくことが大切であると考えています。つまり、連続的な改革なしに非連続的な改革はあり得ないと思っています。

 現在、私たちの研究開発部では、既存市場向けに自動車用フィルターメディアや分離膜支持体紙などの重要製品群の次期製品開発も行うとともに、これからの阿波製紙を支えていくと期待される次世代中核商品として、サーマルマネジメント材、電磁波吸収材、そして、CFRTPやCNFRTPなどの複合材などの素材開発・用途開発に日夜取り組んでいます。当社にとっては既存市場分野へ向けた日々改善が連続的な改革であり、非連続的な改革を以て得られるであろう期待市場向け新製品開発がこれに該当するかもしれません。

 前者の既存市場向け開発では、お客様とがっちり組んで製品を開発することも多く、ある意味「ニーズ」が明確であり、開発目標への落とし込みが容易です。しかし、開発納期が立て込んでいたり、工場の生産能力をにらみながら単に開発目標だけをクリアすればよいのでなく、生産性能効率化という観点から事業所メンバーとも協力して研究を行っています。

 一方、後者はある用途ではエンドユーザーの声をダイレクトに聞くことがままならないことが多く、見えないニーズをある程度先読みして開発目標に落とし込む工夫が必要です。時にそれが不十分であれば軌道修正を行い、成功へ向けて確度を高める工夫をします。そのためには多くのお客様の声を頂戴する、必要に応じてコラボ先と共同研究をはじめとするオープンイノベーションの手法も取り入れるなどの努力をしています。オープンイノベーションを進める理由の一つにこれまでのクローズドイノベーションではなし得なかった新たな発想の取り込みや研究開発期間の短縮化などのメリットも考えられます。

 また、事業を創出する段階ではセグメンテーションをしっかり取り組んでいくことが肝要ですが、研究開発のアプローチは少し異なっているように思います。研究開発は上述したように期待市場の見えないニーズ、見えるニーズなどを捉え、開発目標として設定してある種の製品・商品を開発していく行為です。しかし、当初の開発目標とは意図しない展開になることも多く、初期の段階からあまりにも狙いを絞りすぎると、可能性を自ら消しゴムで消していくようなことにもなり兼ねません。ですから、技術オリエンティドな方針だけでは無理があり、営業部門や購買部門、生産部門との連携を図り、事業構想を深めていくことが重要となります。

 私の理解として、非連続的な改革とは、
(1)新たな発想で、(2)過去に捕らわれない新しいアプローチにより、
(3)新しい事業を創出することであると考えます。

 科学技術白書2019年度版では、日本の国際社会における相対的な地位低下の中にあっても、これまでの基礎研究の蓄積による新たな発展に期待を寄せています。
 まだまだ日本は捨てたものではありません。日本発の新たな技術を切り拓き、次の世代へバトンタッチしていけるよう頑張りたいと思います。

 当社の技術に何らかの興味をお持ちであれば、ウェブサイト経由でご相談いただければ幸いです。皆様との新たな連携で次世代中核製品・事業を生み出していけたらと思います。