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【2022年2月号】忠恕の精神

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 ≪目次≫ 
       
 01:[  ご挨拶 ] 今月の社長メッセージ
 02:[二ュース] 「Newsweek国際版」および「THE WORLDFOLIO」に社長インタビューが掲載
 03:[  コラム ] プロダクトコミュニケーターにかける思い~振動板のご紹介~

【 ご挨拶】
 忠恕の精神       代表取締役社長 三木 康弘

 まだまだ寒さ厳しい中ですが、早咲きの桜は開花し、日の出も早くなり春の気配をあちこちに感じるこの頃となりました。先日は北京にて冬季五輪が
開催され、日本選手は金メダル3個を含む計18個と過去最高のメダル数を収め、大活躍を見せてくれました。日頃見慣れない競技に若い選手やベテラン達がそれぞれに感動をもたらせてくれ、スポーツの奥深さを実感したひと時でした。
しかしながら一方で、国際政治の暗い影が差す舞台も見せつけられました。その嫌な雰囲気が、ロシアのウクライナ侵攻という最悪の事態に発展してしまいました。戦闘が一日も早く終息し平和が戻ることを祈るばかりです。

 欧米対中露連合といった対立構造が愈々深刻化する中で、世界経済はロシアに対する金融・経済制裁によるエネルギーや穀物価格の高騰、更には様々な物資の調達難を招く恐れがあります。また金利の上昇や為替の変動リスクも高まり、新年度を間近に控えて事業計画策定に大きな影響を与えています。当社は、緊張感を持って調達ルートの確保に努め一層のコスト削減を進めてまいります。他方、公正な取引を広めるための適切な価格転嫁をも受容するパートナーシップ社会の構築にも尽力し、この難局を乗り切っていかなければならない時と場合が来た様に思います。今こそ経営においても世界の政治においても、忠恕の精神を共有し実践して行かなければならないと思います。

 論語の中で孔子が「吾が道は一を以って之を貫く」と述べられたときに、弟子の曾子が他の門人たちに「孔先生の道は、忠恕すなわち真心と思いやりを貫く事だよ」と解説されています。どんな利害関係が有ろうとも、相手の
立場を理解して折り合う事をしなければ争いばかりとなります。真にWinWinの関係を作るためには、社内間に於いても商取引においても国際政治においても、すべては遠きを慮る人と人の心が大切になることを思い知らされます。

 来年度は、物価上昇も見込まれることから賃上げによる配分が必須となり、新型コロナウイルス感染症の影響からの立ち直りに、更なる負担がのし掛かって来ると思います。しかしここは、世の中のSDGsのような底流と眼前の時流をしっかりと捉え、このような機会にこそ全社員の知恵と力を結集して、新たな成長の潮流を掴んで行きたいと思います。

 目前に控える北京冬季パラリンピックが開会するに際には、世界の平和と秩序を取り戻されることを切に願います。そして末筆ながらコロナウイルス感染対策にご尽力いただいています方々に対し、衷心より感謝とお礼を申し上げます。

【今月のトピックス】

■ トピックス 1  
 「Newsweek国際版」および「THE WORLDFOLIO」に社長インタビューが掲載
 当社 取締役社長 三木康弘のインタビュー記事が「Newsweek国際版(2022年3月4日発行)」 および「THE WORLDFOLIO」のWebサイトに掲載されました。
  → https://www.awapaper.co.jp/news/info/464.php

【コ ラ ム】 

プロダクトコミュニケーター(私の造語です)にかける思い~振動板のご紹介~    執行役員事業開発部長 横田 博


 先日、日本テレビの桝太一氏がアナウンサーから同志社大学に籍を置いてサイエンスコミュニケーターとして転身を図るとの報道がありました。桝アナは理系出身にもかかわらず平易な言葉でサイエンスの世界について視聴者にわかりやすく伝えてくれていることは周知の通りです。私がこの報道で注目したのは、「サイエンスコミュニケーション」という言葉でした。いわば科学者や専門の技術者と一般の方の接点として科学の世界のことをわかりやすく伝えようとする分野です。新型コロナのパンデミックの状況が2年ほど続く中、感染症専門家、コロナ専門家の方々が日々マスコミに登場していますが、専門外の人間からすれば必ずしも専門家の説明がわかりやすいとは限りません。場合によっては、一方通行の情報を与えかねないこともあるようです。このような分野にこそサイエンスコミュニケーターは必要なのでしょう。

 この報道を受けて考えたことがあります。お客様からの潜在・顕在ニーズを弊社内の関係者にわかりやすく伝え具現化して伝え、逆に、それらの成果物である弊社の新しい開発品や製品コンセプトなどをお客様に正確にお伝えすることで相互の意思の疎通を図り、新しい事業を開拓していくことが私自身のミッションであり、あえて造語として示すなら、当社の「プロダクトコミュニケーター」として社会に存在意義を示していくことではないかと信念を持った次第です。

 前置きが長くなりましたが、今回は私が属している事業開発部で扱っている振動板についてご紹介いたします。振動板はいわゆる音響マネジメント分野に属するものであり、具体的な用途としてはスピーカーなどの送られた電気信号を振動させる役目を持つ薄手の材料のことです。一般的には、振動板の材質はパルプ(木材繊維)、カーボン(炭素)、ポリプロピレン(石油系熱可逆性樹脂)、金属系、セラミックス系と多種多様であり、これらの音の響き方が異なることが聴感上に官能性を持たせている理由でもあります。使用する素材によってはエージング(数十~数百時間音を鳴らす)させ、本来の音質を追求するマニアックな領域もあるようです。特に中高域の音質を再現する場合には、振動板素材の影響が色濃く出る場合が多くなり、熾烈な素材開発がなされている分野となっています。振動板に求められる性能は、軽量、剛性、適度な内部損失を持つことです。剛性が高いと材料中の音の伝わる速度が大きくなります。一方、内部損失が大きいと、振動が吸収され減衰する速度が大きくなるため、後から出た音と共振せずクリアな音を出すことができます。
これらの性能は互いにトレードオフの関係にあることが多く、材料に特徴を持たせる理由の一つになっています。さらに、モバイル用、カーオーディオ用、ホームオーディオ用、ラップトップPC用などの用途別、最適な音質を追求するためのフルレンジ(全音域)、サブウーファー(低音域)、ツィーター(高音域)、ミッドレンジ(中高音域)などの帯域別使用法などによって、最適な振動板の材質・サイズ・形状が選定されています。もちろん、用途によって適切な音場形成のための成形性、表面加工性などが要求される場合もあります。

 当社の振動板の特徴は以下3点に要約できます。

(1)主に炭素繊維を抄紙法で薄く敷き詰めた複合材料であることが特徴であること。

(2)軽量で剛性が高く、振動板の音質をチューニングすることが製造プロセスにより可能であること。

(3)製造プロセスの最適化などにより安価に提供可能でお客様のニーズに合致した製品設計が可能なこと。

 また、お客様へご提案段階で振動板の音響評価技術を構築し、振動板素材の特徴見える化の工夫を開始しております。具体的には、これまでご紹介してきた静特性(機械的特性)に加えて動特性(音響特性)を評価し、振動板素材の特徴を見出そうとしています。新規の振動板を検討されているお客様は、是非、当社へコンタクトをお願いします。

 車載用途の振動板に関して言えば、今後は電動車両が主流になっていくことが予測され、自動車の内燃機関によるノイズが低減して、主にタイヤハウス付近から発生するロードノイズ中心になる可能性が高く、自動車室内での静穏化によりカーオーディオなどでこれまで以上に音質を追求するニーズが高まるかも知れません。当社では、このような音響マネジメント市場のニーズをいち早くつかみ、具現化してまいります。当社事業開発部の各メンバーが、そして理系出身の私自身も「プロダクトコミュニケーター」として当該振動板のご紹介に対応させていただきます。