≪目次≫
01:[ ご挨拶] 今月の社長メッセージ
02:[二ュース] 当社代表取締役社長 三木康弘が在徳島ポルトガル名誉領事に就任
03:[ コラム] AIと技術営業――市場の"声"をどう読み解くか
■ ご挨拶■
激動の一年を越えて、未来への挑戦 代表取締役会長兼社長 三木 康弘
冬至を過ぎ、いよいよ年の瀬のムードが高まって来ました。
今年は皆様にとってどんな年でありましたでしょうか。
「熊」が今年の漢字に選ばれ、自然や食料問題が社会を揺るがしました。
また、1年の世相を振り返る創作四字熟語は「古米奮闘」が選ばれ、既存資源を活かしながら新たな挑戦を続ける一年でもありました。
コメ価格の高騰、備蓄米の放出、政治の転換、経済の変動など、まさに激動の年でした。
阿波製紙にとっても、大きな挑戦の年でした。
新小松島工場の建設という、今後十年の発展に欠かせない設備投資を決断しました。
これは生産能力を飛躍的に高める一方、負荷も大きい取り組みです。
しかしその分、期待と目標は大きく、未来への確かな一歩となると確信しています。
一方で、人手不足という深刻な課題にも直面しています。
その為に私たちは、会社の魅力を高め、社員のエンゲージメント向上に力を注いできました。
当社行動指針にあるように、社員に活躍の場と学びの場を提供し、やりがいを持って働ける環境を整えることが、企業の持続的成長に不可欠だと考えています。
当社は機械漉き和紙から始まり、特殊紙メーカーとして長い歴史の中で培ってきた技術やノウハウという無形の財産を豊富に持っています。
これらはすべて形式知化されているものではありませんが、暗黙知として人を通じて多くを継承してきました。
残念ながらすべてが活かされ今の業績に繋がっているわけではありませんが、未来の新しい価値を生み出す宝として温存し磨いてきました。
まさに、荘子の哲学「無用之用(むようのよう)」に通じるものだと考えています。
今年ノーベル化学賞を受賞した北川進氏も、一見無用に見えるものから歴史的成果を導きました。
私たちも同じように、過去に培った知恵を未来の力に変える挑戦を続けます。
来年は丙午の年、当社は新小松島工場を本格稼働へと体制を拡大しますが、そこには「無用之用」を極めた世界一の品質づくりを成し遂げ、新たな価値を生む最新の有用技術を活かしていきます。
「無用之用」と「有用之用」この二つを両輪に、未来に向けて歩みを進めます。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。
■今月の二ュース■
■ 二ュース 1
当社代表取締役社長 三木康弘が在徳島ポルトガル名誉領事に就任
2025年12月17日(水)
当社代表取締役社長 三木康弘は、2025年12月15日付で在徳島ポルトガル名誉領事に就任いたしましたので、お知らせいたします。
→ https://www.awapaper.co.jp/news/info/post_55.php
■コラム■
AIと技術営業――市場の"声"をどう読み解くか 東京営業部 事業創造課 リーダー 日野 剛
阿波製紙 東京営業部の日野剛と申します。
暑い夏の後、過ごしやすい秋が訪れたと思えば、短期間で急に寒くなり、今年は「二季」が新語・流行語大賞の候補となりました。
今回は、2年前の新語・流行語大賞の候補ではありますが、より活用場面が増えた「生成AI」に関して、技術営業という立場で日々感じている"AIとの付き合い方"について、少し肩の力を抜いてお話ししたいと思います。
最近、業務の中で AIを使う機会が増えてきました。
資料の下書きを作ったり、海外の情報を素早く整理したり、展示会で得た名刺のメモを文章化したりと、ちょっとした作業が以前よりスムーズに進むようになりました。
そのたびに「便利な時代になった」と感じる一方で、「技術営業としての仕事はどう変わっていくのか」と考えることもあります。
技術営業の仕事は、お客様の課題を聞き出し、それに適した素材や構造を提案し、ときには社内と調整しながら形にしていくことです。
言い換えれば"言葉になりきらないニーズを読み解く仕事"とも言えます。
ここに AI をどう取り入れるかは、今まさに試行錯誤の最中です。
今のところ、製造や品質管理の現場で AI が本格的に活用されているわけではありませんが、情報収集や仮説づくりの段階では AI が心強い味方になります。
新しい市場の動きを調べたり、類似用途の事例を探したり、技術トレンドの背景を整理したりする作業は、AI が非常に速く、そして網羅的にまとめてくれます。
特に、紙・不織布・粉体複合のように分野が横断する素材を扱う立場にとって、AI が示してくれる"関連領域の広さ"は大きなヒントになります。
ただ、AI が教えてくれるのはあくまで情報の「地図」のようなものです。
その地図のどこに需要があり、どこに当社らしさを発揮できるのかを見極めるのは、私たち技術営業の仕事です。
同じデータを見ても、どこに着目するかは営業一人ひとりの経験や感覚によって異なります。
お客様の表情や声のトーン、ちょっとした言い回しから察する"本音の部分"は、やはり対面や対話を通じて感じ取るしかありません。
AI を使っていて気づくのは、「質問の仕方で、返ってくる答えが変わる」ということです。
これはお客様との会話にも似ています。
漠然と「お困りごとはどういったことでしょうか?」と聞いても、表面的な答えしか返ってこないことがあります。
ところが、質問の角度を変えるだけで、お客様が本当に抱えている課題が浮かび上がってくる。
AI とのやりとりを通じて、改めて"問いの立て方"の重要性を感じるようになりました。
一方で、紙や湿式不織布は、実物を見たり触れたりしないとわからないことが多い素材です。
AI が示す情報だけでは判断しきれない部分――例えば、質感、張り、粉体の表面への現れ方、加工のしやすさなど――は、やはり手に取ってみることで初めて実感できます。
技術営業としては、AI から得た仮説を持ちながら、現物を見て確かめ、お客様の声と結びつけるプロセスが欠かせません。
AI は、技術営業の仕事を奪う存在ではなく、「より深く考える余白を生み出す道具」だと考えています。
情報収集がスピードアップすることで、お客様との対話に時間を割く余裕が生まれる。
仮説が増えることで、これまで気づかなかった用途の可能性に目が届く。
紙という歴史ある素材と、AI という新しい技術。
その二つを組み合わせて、市場の"声"をどう読み解き、どんな価値を提案していけるか――私自身、これからの仕事の変化を楽しみにしています。
最後に、阿波製紙は "紙" の会社ではありますが、紙に限らず、お客様の課題を一緒に整理し、最適な素材や複合構成をご提案できる点が強みです。
新しい用途探索や素材選定でお困りの際は、どうぞ気軽にお声がけください。
皆さまのものづくりをより良い方向へ導くお手伝いができれば幸いですので、変わらぬ御支援・御鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。
激動の一年を越えて、未来への挑戦
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